SaaSとは?現代のビジネスを変える仕組み
SaaS(Software as a Service)とは、ソフトウェアをクラウド経由で提供するサービスモデルです。パッケージソフトのようにインストールの手間がなく、月額や年額で利用できるサブスクリプション型が主流となっています。これにより、ユーザーは初期費用を抑えつつ、常に最新バージョンのサービスを手軽に利用できるようになりました。
SaaSが選ばれる理由(ユーザー視点)
- 導入コストが安く、短期間で使い始められる
- 自社サーバー不要でメンテナンスコストを削減
- 自動アップデートにより常に最新機能を利用可能
- クラウド型なので、在宅勤務や出張先からもアクセス可能
SaaSは、経理や営業、マーケティング、人事など様々な業務で導入が進んでおり、あらゆる業界における「業務効率化のカギ」となっています。
SaaSがもたらす利点(提供企業視点)
- 定額課金により収益の予測が立てやすい
- 顧客の利用データを元に改善・開発サイクルが高速化
- カスタマーサクセスによるリテンション向上が成長を加速
顧客の成功にコミットし続けるビジネスモデルであることから、SaaS企業は顧客との関係性を重視し、長期的な成長を目指す傾向があります。
なぜ今、SaaSが急成長しているのか?
DX推進によるSaaSニーズの高まり
企業のデジタル化(DX)は日本国内でも加速しており、クラウドベースのツールがその中心に位置づけられています。特に、国のIT導入補助金を活用する中小企業の間で、SaaSはコストパフォーマンスの良さから導入が進んでいます。
出典:https://nocoderi.co.jp/blog/market-size-of-saas/
クラウドインフラの発展
AWS、Azure、Google Cloudなどの登場により、サーバー構築・運用のハードルが下がりました。その結果、スタートアップから大企業まで幅広いプレイヤーがSaaSビジネスに参入可能となり、競争と技術革新が急速に進みました。
出典:https://professional-studio.co.jp/blog/saas-feature
サブスクリプションの一般化と浸透
SpotifyやNetflixなどのBtoCサービスがサブスク型を一般化させたことで、法人向けでも「使った分だけ払う」モデルが浸透。無駄なIT投資を避けられる点も支持される理由です。
AI×SaaSの進化が加速中
生成AIやRPA、BIツールとの組み合わせにより、SaaSはさらなる進化を遂げています。営業活動や問い合わせ対応、経理処理などの業務を自動化し、業務全体の高度化と効率化に貢献しています。
出典:https://nocoderi.co.jp/blog/market-size-of-saas/
大企業でもSaaS導入が進む理由
1. スピードが最優先になった
- 競争環境が激化し、業務改善やDXにスピード感が求められる。
- オンプレ開発は半年~年単位かかるが、SaaSなら数日〜数週間で導入・運用が可能。
- 特に営業、労務、人事、経理などノンコア領域では、スピード・コスト重視でSaaSを選ぶ傾向が強い。
2. セキュリティや可用性の信頼性が向上した
- 昔は「クラウドは不安」という意識が強かったが、今ではAWSやAzure、GCPなどのクラウド基盤が高信頼化。
- SaaS提供側もISO/ISMSやSOC2といった国際認証を取得し、セキュリティ要件に対応している。
- 結果、大企業の情報システム部門のガバナンス要件を満たせるSaaSが増えた。
3. グローバル拠点への展開がしやすい
- オンプレ型は地域ごとに構築・保守が必要でコスト高。
- SaaSなら一つのクラウドサービスで多拠点をカバー可能。
- 例:Google Workspace や Salesforce は多国籍企業でグローバル標準として採用されている。
4. API連携・ノーコードツールの充実
- 以前は「自社業務に合わない」と敬遠されていたが、
- API連携によるシステム間接続
- ノーコード・ローコード開発
などにより、自社システムとの柔軟な組み合わせが可能になった。
5. SaaSベンダーの「エンタープライズ対応」が進化
- 大企業向けに以下を強化:
- 権限管理・SSO(シングルサインオン)対応
- 監査ログ
- IP制限、データエクスポート制限
- アカウント一括管理
- これにより、大企業の厳しい要件にも適合できる製品設計が進んでいる。
💡 結論:
オンプレの方が「自由度は高い」が、「コスト・保守・スピード・グローバル対応」で圧倒的にSaaSに軍配が上がる場面が増えたため、特に非コア業務を中心にSaaS化が進んでいるのです。
SaaS業界の市場規模と成長率【国内&海外】
グローバルSaaS市場の急拡大
- 2015年:約453億ドル
- 2019年:約968億ドル
- 2024年:約3,200億ドル(約48兆円)
- 2025年:約4,800億ドル(約72兆円)※予測
この約10年間で世界のSaaS市場は10倍に膨らみ、今後も生成AIやIoTとの融合でさらなる成長が見込まれています。
出典:https://nocoderi.co.jp/blog/market-size-of-saas/
日本SaaS市場の現状と未来
- 2020年度:約7,500億円
- 2023年度:約1.3兆円
- 2024年度:約1.4兆円(推計)
- 2025年度:約1.5兆円(予測)
- 2028年度:約2兆円(予測)
国内でも中小企業を中心にSaaS導入が拡大。特に以下の分野が導入率を高めています:
- 人事・労務管理(SmartHRなど)
- 経理・会計(freeeなど)
- 営業支援・CRM(Sansan、kintoneなど)
出典:https://boxil.jp/mag/a8403/、https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000167.000034525.html
このように日本でも年平均13%の成長を維持しており、SaaSは中長期的に「当たり前のITインフラ」として浸透することが予測されています。今後は地方企業や中堅企業にも広がりを見せ、導入対象がさらに多様化するでしょう。
SaaSで成功している企業事例と2025年以降の注目企業
SaaS市場の拡大とともに、世界・日本で数多くの成功企業が生まれています。ここでは代表的なSaaS企業の例と、今後注目の企業をいくつか紹介します。
Salesforce(アメリカ)
顧客管理(CRM)分野のパイオニアであり、世界最大級のSaaS企業。あらゆる規模の企業にCRMプラットフォームを提供し、顧客の声を活かしたサービス展開で急成長しました。日本企業のビックカメラが数十億円を投じて全社導入するなど、大企業にも広く採用されています
Google Workspace(アメリカ)
Gmailやカレンダー、オンライン会議(Meet)、ストレージ(Drive)などを統合提供するクラウドオフィススイート。在宅勤務の増加でグローバルに利用が拡大し、コラボレーションツールの代表格として定着しています。
Adobe Creative Cloud(アメリカ)
PhotoshopやIllustratorなど従来パッケージ販売していたソフトをクラウド化し、定額制で提供。このビジネスモデル転換が功を奏し、2022年には過去最高の四半期売上を記録するなど大きな成功を収めました。
Slack(アメリカ)
業務チャットツールの定番。シンプルで使いやすく他のSaaSとも連携しやすい点が評価され、多くの企業のコミュニケーション基盤となりました。その重要性から2021年にSalesforce社が約277億ドル(約2.9兆円)で買収し話題となりました。
Zoom(アメリカ)
オンライン会議ツールの代表格。パンデミック下で世界中に急速に浸透し、ビデオ会議=Zoomと言われるほどの知名度を築きました。現在も有料企業ユーザーが増加し、SaaS型サービスとして高成長を続けています。
SmartHR(日本) – 人事労務手続きをクラウドで効率化する国内SaaSスタートアップ。煩雑な社会保険・年末調整等の手続きをオンライン完結できるサービスが評価され、スタートアップから上場企業まで導入が進んでいます
careerladder.jp
。2024年には100億円の大型資金調達を実施しており、今後さらなる成長が期待される注目企業です
prtimes.jp
freee(日本)
中小企業向けクラウド会計ソフトの草分け的存在。会計・経理のクラウド化を牽引し、面倒な経費精算や給与計算をスマートに処理できるツールとして支持を拡大
careerladder.jp
。既に東証マザーズへの上場を果たし、フィンテック領域で事業を広げています。
Sansan(日本)
名刺管理サービスから出発し、法人の出会い情報を資産化するユニークなSaaS企業。
careerladder.jp
名刺データをCRMに取り込み営業DXに活用するモデルで成長し、請求書管理など新サービス展開も積極的です。こちらも上場済みで、営業×IT領域の代表的企業となっています。
この他にも、Money Forward(クラウド会計・金融SaaS)やサイボウズ(業務アプリ構築プラットフォーム「kintone」提供)など国内でSaaS事業を牽引する企業は多数あります
careerladder.jp。
またRakus(楽楽精算シリーズ)のように中小企業のバックオフィス効率化で急成長している企業も注目されています
。2025年以降は特にAIと連携したSaaSや、特定業種に特化したVertical SaaSが有望視されており、新たなプレイヤーの台頭にも期待が高まります。今後は既存大手に加え、これら新興のSaaS企業にも注目すると良いでしょう。
20代営業職から見たSaaS業界の将来性(市場価値と働き方)
営業職としてSaaS業界にキャリアを移すメリットは大きく、将来性は非常に高いとされています。
まず、市場の成長に伴い営業人材の需要と待遇が高水準です。実際、SaaS業界全体の平均年収は約608万円と日本の全業種平均(458万円)を大きく上回っており、特に有名SaaS企業では平均年収800万~1000万円超という高待遇も見られますaxxis.co.jp。業界が伸びているぶん各社とも優秀な営業人材の獲得に積極的で、若手でも成果次第で高収入を得やすく市場価値が高い職種と言えますaxxis.co.jpaxxis.co.jp。その分応募者も増え競争は激化していますが、
20代でもデータ分析や課題解決型の提案スキルを磨けば大いにチャンスがあります。
また、SaaS企業の営業スタイルや働き方は従来型と大きく変化しています。
多くのSaaS企業では営業プロセスが分業化されており、
インサイドセールス(見込み客の発掘・育成)
→フィールドセールス(商談クロージング)
→カスタマーサクセス(顧客継続支援)
といった専門役割に分かれますaxxis.co.jp。一人の営業が新規開拓からアフターフォローまで全て担う従来型とは異なり、チームで効率的に売上を最大化する手法が確立されています。
この分業体制により未経験からでもインサイドセールスで経験を積むなどキャリアパスが描きやすく、専門スキルを高められる環境があります。
さらに、SaaS企業は柔軟な働き方や先進的な社風を取り入れているケースが多いです。
例えば前述のSmartHRではフルリモートOKで自由度の高い働き方を実現しておりcareerladder.jp、他の多くのSaaS企業でもリモートワークやフレックス制度を導入しています。営業活動自体もオンライン商談やデジタルツール活用が中心となりつつあり、場所や時間に捉われないスマートな働き方が可能です。
20代の若手にとっては、ITリテラシーを活かして効率良く成果を出せる環境と言えるでしょう。
一方で急成長領域ゆえに新しい知識を学び続ける姿勢も求められます。SaaS業界では次々に新しいプロダクトや技術トレンド(AI連携、自動化など)が生まれるため、キャッチアップを怠ると適切な提案ができなくなりますaxxis.co.jp。裏を返せば、常に最新のビジネス課題に触れながら自己成長できる刺激的なフィールドでもあります。「営業×IT」のスキルセットは今後ますます汎用性が高まるため、20代のうちにSaaS業界で経験を積むことは将来のキャリア幅を大きく広げてくれるでしょう。
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