HR系SaaSの中でも、ここ数年で存在感を高めているのが**「カオナビ」と「プラスアルファ・コンサルティング(以下PAC)」**です。
どちらも「タレントマネジメント」領域を中心にサービスを展開しており、人材情報を可視化して組織運営を支援する点では共通しています。
ただし、営業職として転職を検討する際には、
- 商材の提案難易度
 - 年収・報酬体系
 - 労働時間・ホワイト度
 - キャリアアップの方向性
などで実態が大きく異なります。 
本記事では、実際の公開情報・口コミ・IR・求人票などをもとに、営業職が転職前に知っておくべきリアルな比較を行います。
1. 企業概要・事業フェーズの違い
| 企業名 | カオナビ | プラスアルファ・コンサルティング(PAC) | 
|---|---|---|
| 設立 | 2008年 | 2006年 | 
| 上場 | 東証グロース(2020年3月) | 非上場(IPO準備中とされる) | 
| 社員数 | 約300名 | 約500名 | 
| 主力事業 | タレントマネジメントクラウド「カオナビ」 | 「タレントパレット」「カスタマーリングス」「見える化エンジン」 | 
| 顧客数 | 約3,500社(2024年時点) | 約1,000社(2024年時点) | 
| 公式サイト | https://corp.kaonavi.jp/ | https://www.pa-consul.co.jp/ | 
カオナビは「人材の見える化」を軸としたクラウド型人材管理システムを提供し、2020年に上場。安定期に入った今は顧客基盤を生かした機能拡張(1on1・OKRなど)を進めています。
一方、PACは「データ分析」を強みに、人材データ×AI予測分析に注力するSaaS企業。HR領域だけでなく、マーケティング領域(カスタマーリングス)やテキスト分析(見える化エンジン)も展開しており、多角的SaaS企業としてIPO前の成長局面にあります。
根拠URL:
https://corp.kaonavi.jp/ir/
https://www.pa-consul.co.jp/company/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000102.000015272.html
2. 商材の特徴と提案難易度
カオナビの商材特徴
- 「人材の見える化」をテーマに、社員のスキル・評価・目標を一元管理。
 - UIが直感的で導入スピードが速く、SaaS営業として“入りやすい”プロダクト。
 - 導入企業:日清食品、東京ガス、リクルート、コクヨなど。
(参考:https://corp.kaonavi.jp/case/) 
PAC(タレントパレット)の商材特徴
- 評価・スキル管理に加え、AIによる離職予測・適材配置分析・エンゲージメント可視化などが強み。
 - データ活用前提の提案となるため、コンサルティング要素が強い営業。
 - 導入企業:ANA、KDDI、JR東海、ニトリ、東京海上日動など。
(参考:https://www.pa-consul.co.jp/talentpalette/case/) 
比較まとめ
| 項目 | カオナビ | PAC | 
|---|---|---|
| 導入スピード | 早い(2〜3ヶ月) | やや長い(3〜6ヶ月) | 
| 提案内容 | 評価制度・人事DB中心 | データ分析・人材活用施策 | 
| 営業難易度 | 中〜やや低 | 中〜高(分析知識が必要) | 
| 商談タイプ | ツール導入提案型 | コンサル提案型 | 
営業として「ヒアリング力と提案設計力」を伸ばしたい人にはPAC、
「テンプレート提案をスピード重視で回したい人」にはカオナビが向きます。
3. 年収・報酬制度の比較
カオナビの年収水準
OpenWork掲載のデータによると、平均年収は約630万円前後(2024年度)で、職種別では以下の通り:
- 営業(IS/FS):450〜800万円
 - カスタマーサクセス:500〜700万円
 - エンジニア:600〜900万円
(参考:https://www.openwork.jp/company.php?m_id=a0C1000001UTi8IEAT) 
賞与は年2回、インセンティブは営業職中心に支給。ストックオプションは上場前後で一部付与されています。
PAC(タレントパレット)の年収水準
PACは非上場のため有価証券報告書は未公開ですが、求人票や転職サイトによると:
- 営業(フィールドセールス):500〜900万円
 - コンサルタント/マネージャー:700〜1,200万円
 - エンジニア:600〜1,100万円
(参考:https://doda.jp/DodaFront/View/CompanyJobs/j_id__10136262863/) 
OpenWorkでは「平均年収650〜700万円台」「賞与年2回・成果評価制」との記載が見られます。
(参考:https://www.openwork.jp/company_answer.php?m_id=a0C1000000qcy7A&q_no=2)
年収比較まとめ
| 項目 | カオナビ | PAC | 
|---|---|---|
| 平均年収 | 約630万円 | 約670万円(推定) | 
| FS職レンジ | 450〜800万円 | 500〜900万円 | 
| インセンティブ | 有(成果比重中) | 有(成果比重やや高) | 
| ストックオプション | 一部上場時付与 | IPO前で可能性あり | 
給与テーブルは大きく変わらないが、成果報酬・評価スピードの早さではPACの方が上振れしやすい。
安定した報酬レンジを求めるならカオナビ。
4. 労働時間・ホワイト度の比較
カオナビ
OpenWorkでの「ワークライフバランス」スコアは3.8/5。
口コミでは「残業は月20〜30時間前後」「休日出勤はほぼなし」との声が多く、SaaS営業としてはホワイト寄り。
(参考:https://www.openwork.jp/company_answer.php?m_id=a0C1000001UTi8IEAT&q_no=6)
PAC
同じくOpenWorkでは「残業時間30〜45時間」「時期によって波がある」との声。
一方で「リモート可」「裁量が大きくコントロール可能」ともあり、部署やプロジェクトによる差が大きい。
(参考:https://www.openwork.jp/company_answer.php?m_id=a0C1000000qcy7A&q_no=6)
| 項目 | カオナビ | PAC | 
|---|---|---|
| 平均残業 | 20〜30h | 30〜45h | 
| 休日出勤 | ほぼなし | 一部繁忙期にあり | 
| ワークライフバランス | 安定 | 裁量制・波あり | 
カオナビ=「ワークライフ重視」、PAC=「裁量重視」という文化の違い。
自分で時間管理したいタイプはPAC、チームワークで安定稼働したい人はカオナビ。
5. 働き方(リモート・柔軟性)
両社ともSaaS企業らしくリモートワークが普及していますが、強調点が異なります。
- カオナビ:週3日リモート可、営業は顧客訪問・オンライン半々。
→ 「在宅とオフィスのバランスが取りやすい」との口コミ。
(参考:https://corp.kaonavi.jp/recruit/) - PAC:原則リモート可、ただしオンボーディング期間や大型PJでは出社多め。
→ 「柔軟だが自己管理前提」との声。
(参考:https://www.pa-consul.co.jp/recruit/) 
SaaS営業でもオンライン比率が高いのはPAC。
オフィス文化を感じながら働きたい人にはカオナビが向く。
6. 営業スタイルとチーム体制(The Modelの違い)
| 項目 | カオナビ | PAC | 
|---|---|---|
| 組織構造 | The Model型(IS→FS→CS) | 分業+一部コンサル型 | 
| 営業手法 | マーケ獲得リード+紹介中心 | コンサル提案・既存深耕 | 
| 提案フェーズ | デモ中心(HR部門担当) | 課題深掘り〜経営提案型 | 
| 受注難易度 | 中 | 高 | 
カオナビは**「The Model」完全型で、IS(インサイドセールス)が商談を作り、FS(フィールドセールス)がクロージング、CSが定着を支援。
一方PACは、商談から課題整理・分析設計までをFSが担うハイブリッド営業**で、BtoBコンサル的スキルが求められます。
「SaaS営業の基礎を学びたいならカオナビ」、「コンサルティング型の営業力を磨きたいならPAC」。
7. キャリアパス・昇進スピード
- カオナビ:上場後は組織体制が固まり、Mgr・チームリーダー昇進に2〜3年程度。
CS・企画職への異動実績も多い。
(参考:https://corp.kaonavi.jp/recruit/people/) - PAC:データ分析/コンサルティング領域への横展開が可能。
成果次第で若手でもマネジメント/事業責任者昇進例あり。
(参考:https://www.pa-consul.co.jp/recruit/interview/) 
安定的なマネジメントキャリアならカオナビ、
事業成長とともに**“裁量を広げたい人”**はPACがチャンス豊富。
8. 企業カルチャー・社風の比較
| 観点 | カオナビ | PAC | 
|---|---|---|
| 雰囲気 | 明るくフラット、ベンチャー色 | プロフェッショナル志向、分析好きが多い | 
| 組織文化 | チームで成果を出す文化 | 個人の裁量・思考重視 | 
| 社員層 | 20〜30代中心 | 20〜40代バランス型 | 
| 評価傾向 | プロセス重視 | 成果重視+専門性評価 | 
カオナビ=コミュニケーション重視型。
PAC=データ×ロジカル型。
同じSaaS営業でも、求められる“営業スタイルの人格”がかなり異なります。
9. 事業フェーズと将来性
カオナビは2020年上場以降、ARR成長率20%台を維持しており、安定成長の上場SaaS。
(参考:https://ssl4.eir-parts.net/doc/4435/tdnet/2355425/00.pdf)
一方、PACはタレントパレット事業のARRを毎年2桁成長させており、IPO準備を進めていると見られる。
また、マーケティング領域の「カスタマーリングス」やVOC分析「見える化エンジン」とのクロスセル展開が可能で、HR単体ではない成長余地がある。
(参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000108.000015272.html)
安定成長ならカオナビ、
急成長・IPOフェーズで経験を積みたいならPAC。
10. 営業転職者にとってのおすすめタイプ
| タイプ | 向いている企業 | 理由 | 
|---|---|---|
| 安定した環境でワークライフバランスを保ちたい人 | カオナビ | 上場済み、残業20h前後、固定報酬安定。 | 
| 実力で収入を伸ばしたい・早期昇格を狙いたい人 | PAC | 成果連動評価、昇格スピード早め。 | 
| The Model体制で営業基礎を磨きたい人 | カオナビ | 分業明確でSaaS営業の型を学べる。 | 
| データ分析・コンサル型営業に挑戦したい人 | PAC | 経営層・人事課題の抽象度が高い提案。 | 
| IPO前後のフェーズを経験したい人 | PAC | 事業拡張期で裁量が大きい。 | 
11. まとめ
両社ともにSaaS業界を代表するHRTech企業であり、どちらに転職してもキャリアの価値は高いと言えます。
ただし、営業職にとっての“向き不向き”ははっきりしています。
- カオナビ:安定した上場SaaS。チームプレイ・再現性・ワークライフ重視。
 - PAC(タレントパレット):データ分析型SaaS。裁量・成長・上振れ報酬を重視。
 
「安定したホワイトSaaS営業を選ぶか、
成果主義で市場価値を上げる挑戦を選ぶか」。
どちらを選んでもSaaS営業としての経験値は確実に積み上がります。
参考URL一覧
https://corp.kaonavi.jp/
https://corp.kaonavi.jp/ir/
https://www.pa-consul.co.jp/
https://www.pa-consul.co.jp/talentpalette/
https://doda.jp/DodaFront/View/CompanyJobs/j_id__10136262863/
https://www.openwork.jp/company_answer.php?m_id=a0C1000000qcy7A&q_no=6
https://www.openwork.jp/company.php?m_id=a0C1000001UTi8IEAT
https://corp.kaonavi.jp/case/
https://www.pa-consul.co.jp/talentpalette/case/
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4435/tdnet/2355425/00.pdf
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000108.000015272.html


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