インサイドセールスとは、見込み顧客に対して電話やメール、Web会議などを通じて非対面で営業活動を行う手法です 。マーケティング部門が集めた見込み客(リード)に対し、課題のヒアリングやサービス紹介を行い、**フィールドセールス(外勤営業)**が対応する商談アポイントへとつなげる「橋渡し役」の営業職種です。従来の飛び込み営業や訪問営業とは異なり、オンライン上で効率良く顧客フォローできる点が特徴です。

現代のSaaS企業では営業プロセスを専門分化した「THE MODEL(ザ・モデル)」型の組織体制を導入する例が増えています。THE MODELでは営業フローを ①マーケティング → ②インサイドセールス → ③フィールドセールス → ④カスタマーサクセス の4部門に分業し、各部門がそれぞれの専門業務に特化します 。以下の図のように、マーケティングでリストを作成しリード獲得、インサイドセールスで案件化(商談機会の創出)、フィールドセールスで契約獲得、最後にカスタマーサクセスが契約後のフォローを担当する流れです。
図:THE MODEL型営業組織における各部門の役割とプロセス全体像(マーケティング→インサイドセールス→フィールドセールス→カスタマーサクセス)

インサイドセールスは**「見込み客の育成・商談化」を担い、マーケ部門から渡された顧客リストに対しフォローアップや新規架電を行って商談のきっかけを作ります。一方、フィールドセールスは「商談対応・受注契約」を担う伝統的な営業スタイルで、インサイドセールスが獲得した商談に対面(訪問やオンライン面談)で臨み、契約締結まで進める役割です 。カスタマーサクセスは「契約後の顧客支援」**を担い、導入支援や定期的なフォローを通じて顧客の継続利用と満足度向上を図ります 。このように各ポジションが連携することで、営業全体の生産性と専門性を高めているのがTHE MODEL型組織の特徴です。
インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスの仕事内容と年収比較
それでは、SaaS業界の営業主要3職種であるインサイドセールス(IS)・フィールドセールス(FS)・**カスタマーサクセス(CS)**について、仕事内容と年収の相場を比較してみましょう。未経験から経験者を含めた大まかな年収レンジと業務内容の違いは以下の通りです。
職種 | 年収(目安) | 主な仕事内容(ミッション) |
---|---|---|
インサイドセールス | 400〜650万円 | 非対面で営業活動を行い、課題をヒアリングして、対面での商談アポイントをとる職種 |
フィールドセールス | 400〜700万円 | 対面で商談を進め、課題を解決する商材を提案し、契約締結までを行う職種 |
カスタマーサクセス | 400〜800万円 | 契約後の顧客を支援し、サービス活用を促進し、継続利用を促進しつつ新しい問題を解決する職種 |
※上記はあくまで相場の一例です。例えばインサイドセールスの平均年収は東京都で約486万円、全国平均でも403万円と比較的高水準にあります 。未経験からスタートする場合は年収300〜400万円台(企業規模や前職経験による)となるケースが多い一方、マネージャー職になれば600〜700万円程度まで十分に狙えます 。
フィールドセールスはインサイドセールスより応募条件が厳しい分、年収は下限が400〜500万円程度とやや高めに設定され、実績次第では1,000万円以上も可能とされています
(出典:キャリアエックス「SaaS営業の年収について解説!」https://career-x.co.jp/saas/article6/)。
カスタマーサクセスも企業によっては年収800万円超えの募集がありますが、新しい職種ゆえに未経験で就く人も多く、平均的なレンジは400〜600万円前後と幅広い傾向です 。
補足:上記データは求人情報や転職エージェントの公開資料等を参考にしています(例:Axxis株式会社「すべらない転職」より職種別年収データ )。実際の年収は企業規模・個人の経験や成果によって大きく異なりますので、一つの目安として捉えてください。
未経験からのインサイドセールスキャリアパス:昇進・他部署移動・独立は可能?
SaaS業界未経験からインサイドセールスに挑戦する場合でも、実績を積むことで多彩なキャリアパスが開けます。
インサイドセールスとして成果を出し続ければ、シニア職やチームリーダーへの昇進に伴い年収アップが期待できます。また、インサイドセールスで培ったヒアリング力・提案力を武器に、フィールドセールスやカスタマーサクセスへ異動してキャリアを広げるケースもあります 。書籍の『The MODEL』にも記載されている通り、SaaS業界未経験の場合は、まずインサイドセールスで顧客と話して自社の商材の理解を深めてからフィールドセールスやカスタマーサクセスへ異動することを推奨しており、転職活動をしていると、実際に企業も「未経験の場合はインサイドセールスに入ってもらいたい」というケースがほとんどだな、と感じております。
さらに、近年ではインサイドセールスの経験を活かして営業コンサルタントとして独立したり、副業的に他社のインサイドセールス立ち上げを支援する動きも見られます。特にSaaS領域は人材不足からフリーランスのインサイドセールス需要も増えており、実績次第では独立して企業の営業代行や顧問として活躍する道も考えられます。現にインサイドセールス専門の支援会社やコミュニティも登場しており、優秀な人材には高い報酬が提示されることもあります。未経験であってもまずは現場で経験を積み、専門スキルを磨くことで、将来的に様々なキャリアオプションが選択可能です。
インサイドセールスの将来性:需要拡大と市場価値の高まり
インサイドセールスの将来性は非常に高いといわれます。
その背景には、顧客の購買行動の変化とSaaSビジネスモデルの普及があります。インターネットで事前情報収集が進む現在、従来型の飛び込み営業だけでは効率が悪くなり、非対面で効率的に商談創出できるインサイドセールスが注目されるようになりました。実際、インサイドセールス発祥の米国では急成長を遂げ、訪問営業職の数を上回る規模にまで拡大しています 。日本国内でもここ数年でインサイドセールスおよびカスタマーサクセスの求人は急増しており、その需要拡大傾向は今後も続く見通しです 。
また、マーケティングオートメーションやCRMの普及によって、インサイドセールスが扱う顧客データはますます高度化しています。テクノロジーを駆使して**「確度の高い顧客に適切なタイミングでアプローチする」ことが可能となり、従来のテレアポ部隊から戦略的なインサイドセールス部門へと進化**が進んでいます 。
こうした流れから、インサイドセールスは企業の売上拡大に欠かせない存在となりつつあり、市場価値も年々高まっている職種です。
まとめ インサイドセールスは将来性があるポジション
SaaS業界未経験の方にとっても、インサイドセールスは挑戦しがいのある魅力的なポジションです。非対面での営業スキルやデジタルツール活用力は今後さらに重要になり、経験を積めば高収入やマネジメント職、さらには独立の道も開けます。営業職全体の中でも新しいスタイルであるインサイドセールスは、将来性抜群のキャリアと言えるでしょう。ぜひ本記事の情報を参考に、キャリア選択の一助としてみてください。
出典:
- Axxis株式会社「インサイドセールスの平均年収は486万円!転職のプロがキャリアパスや未経験転職について徹底解説!」(2025年) (https://axxis.co.jp/magazine/57519)
- キャリアエックス「SaaS営業の年収について解説!年収が高いSaaS企業はどこなのか」(2025年) (https://career-x.co.jp/saas/article6/)
- その他:インサイドセールスに関する転職サイト記事 、業界メディア記事 など
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