はじめに|AI insideを転職候補としてどう見るか
AI insideは、AI-OCR「DX Suite」で国内トップシェアを取り、いまは自社LLM「PolySphere」やAIエージェント「Heylix」、AI統合基盤「AnyData」などを伸ばしているAI×SaaS企業です。
SaaS転職を考える営業職からすると、
- DX Suiteって実際どんなプロダクトなのか
- AI insideの将来性は本当にあるのか
- 転職したらどんな営業スタイル・年収レンジになるのか
このあたりが一番気になるポイントだと思います。
この記事では、IR資料やニュースリリースなどの一次情報をベースに、事業内容・プロダクト・業績・市場トレンド・将来性・キャリア価値を整理します。読み終わった時に、「AI insideに転職する/しない」を自分で判断できる状態をゴールにします。
参考URL:
AI inside 公式サイト(企業概要):https://inside.ai/about
AI inside IR情報トップ:https://inside.ai/ir
AI insideの事業概要とビジネスモデル
会社概要とポジショニング
AI insideは2015年設立のテック企業で、東証グロース市場に上場しています。主な事業は以下の4つです。Strainer
- AI-OCRサービス「DX Suite」
- 生成AIエージェント「Heylix」
- マルチモーダルAI統合基盤「AnyData」
- エッジAIハードウェア「AI inside Cube」
一言で言うと、「日本企業の紙・文書・業務プロセスをAIで置き換えていくプラットフォーム企業」です。
売上構成とSaaSらしさ
2025年3月期の売上高は約44億円(前期比5.0%増)でした。株探+1
内訳はざっくりと、
- リカーリング型売上:41.9億円(前年比8.9%増)
- セリング型売上:2.1億円(導入・開発など一時金、前年比減少)株探+1
となっており、売上のほとんどがストック収益で構成されています。
SaaS営業として見ると、
- 新規契約でARRを増やす
- 既存顧客の利用拡大・クロスセルでNRRを高める
という、いわゆる「SaaSど真ん中」の仕事になりやすい構造です。
顧客セグメント
決算説明資料などを見ると、主な顧客は以下のような業種です。Yahoo!ファイナンス+1
- 金融・保険
- 官公庁・自治体
- 通信・インフラ
- BPO・アウトソーシング
- 製造・流通
紙の帳票が多く、セキュリティ要件も厳しい業種が多いのが特徴です。
営業としては「大企業/自治体へのエンタープライズセールス」が主戦場になります。
参考URL:
AI inside 会社情報:https://inside.ai/about
AI inside IR(事業・業績):https://inside.ai/ir/performance
AI inside 事業計画資料:https://finance.yahoo.co.jp/quote/4488.T/financials
DX Suiteとは何か|AI insideの柱となるプロダクト
DX Suiteの役割と機能
DX Suiteは、「あらゆる書類を自動でデータ化し、データ入力業務を自動化するAIエージェント」です。
できることを噛み砕くと、こんな流れです。
- 請求書・申込書・契約書などのファイルを自動で取得
- 帳票の種類ごとに自動仕分け
- AI-OCRが活字・手書き文字を高精度に読み取り
- 読み取ったデータをチェックし、基幹システムやクラウドへ自動連携
特長として公式サイトが挙げているのは、
- 自社開発AIによる「業界最高水準」の読取精度
- 手書きや傾いた画像、フォーマットがバラバラな非定型帳票にも対応
- 非エンジニアでも扱いやすいUI
- さまざまなシステムとの連携のしやすさ
という点です。
営業トークのイメージ
DX Suiteを提案する時の、典型的な営業トークをイメージしてみます。
- 「月間○千件の請求書や申込書の処理に、何人・何時間使っていますか?」
- 「DX Suiteなら、取り込み・仕分け・読取・システム連携までをAIエージェントが自動で実行します。」
- 「1件あたりの処理コストを○円削れると仮定すると、年間で○百万円規模の削減余地があります。」
ポイントは「AI-OCRを売る」のではなく、業務プロセス全体のコスト削減・リードタイム短縮を売るというスタンスです。
競合排除トークの観点
AI-OCR領域は競合が多く、「どのAI-OCRでも同じでは?」と言われがちです。そこで使いやすい差別化軸は次の4つです。
- 精度
- 手書き・傾き・非定型帳票でも高い精度で読めることを、導入実績や学習データ量から説明。
- 非定型対応
- 事前学習済みのプリセットが1,200種類以上あり、「設定工数が少ない」「立ち上がりが早い」を強調。
- 業務自動化の範囲
- 「OCRだけ」ではなく、ファイル取得や仕分け、チェック、連携までAIエージェントが対応する点。Yahoo!ファイナンス
- 導入形態
- クラウド版だけでなく、エッジ版(AI inside Cube)もあり、セキュリティ要件に合わせた提案ができる点。
価格の安さではなく、「トータルの業務コストとリスクを下げる」というメッセージで戦うイメージです。
DX Suiteのトラクション
2025年3月期時点で、DX Suiteの契約件数は3,057件(前年同期比9.6%増)、ユーザー数は66,477人(同18.8%増)です。株探+1
解約率は0.57%と非常に低く、月平均AIリクエスト数は2.1億回に達しています。Yahoo!ファイナンス+1
- 利用社数が増えている
- 1社あたりの利用量も伸びている
- 解約率(チャーン)が低く、ストック収益が積み上がる構造
という意味で、DX SuiteはAI insideの事業の「土台」になっています。
参考URL:
DX Suite製品ページ:https://inside.ai/dx-suite
DX Suite 特長ページ:https://inside.ai/dx-suite/feature
SCSKによるDX Suite紹介:https://www.scsk.jp/product/common/dxsuite/index.html
決算説明資料(DX Suite契約数・チャーン):https://finance.yahoo.co.jp/quote/4488.T/financials
AnyData・Heylix・AI inside Cube|DX Suiteの“上と下”を固めるプロダクト

AnyData:マルチモーダルAI統合基盤
AnyDataは、「構造化・非構造化のあらゆるデータを一元管理し、AIの学習・運用までをカバーする統合基盤」です。
公式リリースでは、
- データ基盤:数値・画像・テキストなどを一元管理し、データマートを生成
- 学習基盤:データ前処理、新しいAIモデルの生成・評価
- 運用基盤:性能監視・ガバナンス・継続的な改善
といった役割が紹介されています。
営業目線でいうと、
「DX Suiteで紙をデータ化した後、そのデータを活用してAIモデルを作りたい」
「部門ごとに散らばったデータを、AIが使える形で整えたい」
といった、より上流のDX・データ活用テーマで活躍するプロダクトです。
Heylix:業務をこなす生成AIエージェント
Heylixは、あらゆるタスクを自律的にこなす生成AIエージェントとして提供されています。
- 社内システムやドキュメントから情報を取得
- 指定フォーマットでレポートやメール文を作成
- ワークフローの起票・処理を代行
など、人がやっていた「調べる・まとめる・登録する」系の仕事を肩代わりしてくれるイメージです。
DX SuiteとHeylixを組み合わせると、
- 書類のデータ化
- データを元にした分析・レポート作成
- 後続業務(承認・登録など)の自動化
まで、かなり広い範囲をAIエージェントに任せられるようになります。
AI inside Cube:エッジで動くAIの箱
AI inside Cubeは、GPUを搭載したエッジデバイスと、AI管理ソフトを組み合わせた製品です。DX Suiteをオンプレミスで動かしたい顧客向けに提供されています。Strainer
- 金融・医療・官公庁など、データを外に出しにくい業種
- 工場ラインや店舗など、現場でリアルタイム処理したいケース
で需要があり、クラウド版DX Suiteと組み合わせて提案することもできます。
プロダクト全体像のイメージ
文章で図解すると、以下のようなスタックを持った企業です。
- 【現場レイヤー】DX Suite(クラウド/Cube)
- 【プラットフォームレイヤー】AnyData
- 【インターフェースレイヤー】Heylix、各種AIエージェント
- 【モデルレイヤー】自社LLM「PolySphere」シリーズYahoo!ファイナンス
単なるアプリSaaSではなく、「AIモデル〜基盤〜アプリ〜エージェント」まで垂直統合している点が、AI insideの特徴です。
参考URL:
AnyData提供開始リリース:https://inside.ai/news/2023/06/12/anydata-insidex
AnyDataサービス紹介:https://inside.ai/anydata
AIエージェント活用調査リリース:https://inside.ai/news/2025/0423_aiagent-trend-1
Strainer 企業概要(プロダクト一覧):https://strainer.jp/companies/JP-4488
競合比較と市場ポジション
AI-OCR・ドキュメントAI市場での立ち位置
DX Suiteは、AI搭載型OCR市場でシェアNo.1と紹介されています。
AI-OCR領域の競合は、たとえば以下のようなプレイヤーです(ここはブログ側で具体社名を補完してもらうのが良さそうです)。
- 大手SIer系のOCRサービス
- 海外ベンダーのクラウドOCR
- 他AIスタートアップのドキュメントAIサービス
競合と比較した時のAI inside(DX Suite)のポイントを整理すると、
- 日本語・日本の帳票に最適化された読取精度
- 非定型帳票プリセットの豊富さ
- UIの分かりやすさと導入スピード
- AIエージェントによる業務全体の自動化
という形になります。
生成AI・AIエージェント市場でのポジション
生成AIやLLMの領域では、海外の巨大ベンダーが多数参入していますが、AI insideは「日本語ドキュメント処理に特化した自社LLM PolySphere」を開発し、DX SuiteやHeylixに組み込んでいます。Yahoo!ファイナンス
- 日本語帳票50種類で平均95.1%の読取精度を達成したと公表
- 非構造化データの構造化に強み
- 音声対応やマルチモーダル統合もロードマップに含まれるYahoo!ファイナンス
海外LLMと比べたスケールは小さいですが、日本語ドキュメント×業務プロセスに特化したポジションを取ろうとしているのが分かります。
営業現場での「勝ち筋」と「苦戦パターン」
営業経験者目線で整理すると、AI insideの商材は次のような案件で勝ちやすいです。
- 紙/PDFの帳票が大量にあり、手入力コストが高い
- 既にRPAやワークフローが導入されていて、最後の「人手入力」がボトルネック
- セキュリティ要件が厳しく、クラウド+オンプレ両方の選択肢が欲しい
逆に苦戦しやすいのは、
- すでに他社AI-OCRが深く入り込んでいて、入替えハードルが高い
- 「OCR=価格」という認識の強い顧客で、精度や運用面の価値を感じてもらえない
- そもそも紙もPDFも少なく、インパクトが限定される
といった案件です。
ザックリ言うと、「紙と非構造データが多い企業」「日本語の帳票がカオスな企業」ほど、DX SuiteとAIエージェントの価値が生きるイメージです。
参考URL:
DX Suite市場シェア紹介ページ:https://www.scsk.jp/product/common/dxsuite/index.html
AI inside PolySphereニュース:https://inside.ai/news/2024/0820_customizeslm
Kabutan マーケットニュース(事業説明):https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n202506230598
業績・ARR・ストック収益の推移
売上・利益の推移
Strainerや決算短信から、直近2期の数字を整理すると以下の通りです。株探+2Yahoo!ファイナンス+2
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 当期純利益 |
|---|---|---|---|
| 2024年3月期 | 41.9億円 | 4.49億円 | 5.36億円 |
| 2025年3月期 | 44.0億円 | 3.85億円 | ▲4.97億円 |
売上は+5.0%と伸びていますが、利益面は減益・最終赤字です。その主因は、
- 採用費・広告宣伝費・IT投資などの増加
- 過去の企業買収に伴う「のれん」の減損約6.8億円の計上株探+1
とされています。
リカーリング売上と解約率
同じ決算説明資料では、リカーリング型売上が41.9億円(前年比+8.9%)、解約率は0.57%と公表されています。Yahoo!ファイナンス+1
- DX Suite契約数:3,057件(+9.6%)
- ユーザー数:66,477人(+18.8%)
- 月平均AIリクエスト数:2.1億回(+9.0%)
つまり、
- 契約数・利用量は伸びている
- 解約率も低く、SaaSとしての根本的なプロダクト価値は高い
- ただし、投資や減損で利益が揺れやすい
という構造になっています。
投資フェーズか、安定フェーズか
2026年3月期の会社予想では、売上高50.5億円(前期比14.8%増)、営業利益2.05億円を見込んでいます。株探+1
- 売上は再び2ケタ成長を目指す
- 営業利益率はそれほど高くなく、「成長投資を継続しつつ利益も出す」バランスを探っている
といった印象です。
営業として転職するなら、
「既に完成された安定SaaS企業というより、成長投資を継続するフェーズ」
と捉えておくと、期待値コントロールがしやすいと思います。
参考URL:
決算短信(2025年3月期):https://inside.ai/ir/results
決算説明資料(2025年3月期):https://finance.yahoo.co.jp/quote/4488.T/financials
Strainer 業績サマリー:https://strainer.jp/companies/JP-4488
市場トレンドとAI insideの立ち位置
AIエージェント・生成AIの波
AI insideは、AIエージェント活用実態調査で、AIエージェント導入企業の9割超が「働き方にポジティブな変化を感じている」と公表しています。
- 「AIとの協働スキルが求められるようになった」(約半数)
- 「人材不足問題の解消につながった」(約8割)
といった結果で、企業側の期待値もかなり高いことが分かります。
生成AI・LLM市場全体でも、ドキュメント処理・チャットボット・AIエージェント領域は急速に伸びています。AI insideはその中で、
- 日本語帳票に強い自社LLM「PolySphere」
- 3,000社以上・約6万ユーザーに使われるDX Suite・Heylix・AnyData・Cube
というアセットを持ち、日本企業向けの実装力で戦っているポジションです。
日本企業のDX投資との相性
日本では、特に以下のようなテーマに予算がつきやすいです。
- 業務効率化・コスト削減(BPR)
- 働き方改革・残業削減
- ペーパーレス・電子帳簿保存法対応
DX SuiteやHeylixは、このあたりのテーマに直結するため、「AI inside=攻めのAI」というよりは、守りと攻めの中間を取るAIとしてフィットしやすい印象です。
営業としては、
「AIで新しいことをしたい」というテーマよりも、
「今の紙と人手の業務を、AIでどこまで合理化できるか」
というトークのほうが刺さりやすいはずです。
参考URL:
AIエージェント活用実態調査:https://inside.ai/news/2025/0423_aiagent-trend-1
PolySphereニュースリリース:https://inside.ai/news/2024/0820_customizeslm
AI insideの将来性:成長シナリオとリスク
成長ドライバーになりそうなポイント
成長余地が大きいと感じるポイントは、主に3つです。
- DX SuiteのAIエージェント化とARPU向上
- DX Suiteは既にシェアが高く、今後は「AIエージェント機能の標準搭載」で、1社あたりの利用単価・利用範囲を広げる戦略です。株探+1
- PolySphere-3による非定型帳票の高精度化
- 日本語帳票50種類で平均95.1%の精度を達成したとされ、非定型帳票の自動化範囲がさらに広がる可能性があります。Yahoo!ファイナンス+1
- AnyData・Cubeを通じたAI基盤・エッジ領域への展開
- 単なるOCRベンダーではなく、「AIインフラ企業」としての収益機会を増やしている点は、中長期のポテンシャルとして評価できます。Yahoo!ファイナンス
意識しておきたいリスク・課題
一方で、リスクもはっきり存在します。
- 利益のボラティリティ
- のれん減損などで最終損益が大きく振れる可能性があるため、安定高収益企業というより「成長投資フェーズのテック企業」と考えるのが現実的です。株探+1
- 競合環境の厳しさ
- 海外のLLMベンダーや、国内外のAI・SaaSスタートアップとの競合は今後も激しくなります。PolySphereの差別化がどこまで通用するかは、まだ検証途上です。Yahoo!ファイナンス
- 人材・組織の成熟度
- クチコミサイトでは、「組織の変化が多い」「評価制度への不満」などの声も見られます。成長企業あるあるですが、マネジメント体制はまだ途上と見るべきでしょう。株探
総合すると、プロダクトと市場のポテンシャルは高いが、組織と財務の安定度はまだこれから、という評価がバランスが良いと感じます。
参考URL:
Kabutan 企業分析記事:https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n202506230598
事業計画・成長可能性説明資料:https://finance.yahoo.co.jp/quote/4488.T/financials
OpenMoney 平均年収・財務解説:https://openmoney.jp/corporations/9770/reports/grade
年収水準と待遇感:SaaS営業として割に合うか
概要の年収水準
dodaのデータによると、AI insideの過去5期平均年収は約899万円です。
- 2021〜2025年の有価証券報告書ベースで、平均年収は777〜1,013万円のレンジ
- 直近では987万円と高水準
一方、OpenMoneyや他の年収サイトでは、実際の社員データから平均715万円・中央値675万円という集計もあります。
→ 「平均年収○○万円」は母数や集計方法でかなり変わるため、参考値として見ておくのがよさそうです。
営業職のレンジ
営業職に絞ると、
- doda:IT法人営業(直販)の予定年収606万円という求人例
- Indeed:内勤営業・インサイドセールスで年収約564万円、企画営業で月69.8万円などの推定値
が公開されています。
20〜30代のSaaS営業としては、
- スタート時は600〜700万円台
- 実績とグレード次第で800〜900万円超も狙える
といった水準感が現実的だと思います(もちろんポジションやタイミング次第です)。
報酬・評価の特徴
クチコミサイトを読むと、以下のような傾向が見て取れます。株探
- 成果に応じて報酬が上がる「実力主義」の色が強い
- ただし、評価・等級制度の変化が多く、納得感に差がある
- 急成長期の名残もあり、人材の入れ替わりはそれなりにある
ガチガチの年功序列企業ではないので、「売れる人はしっかり稼げるが、成果が出ないと厳しい」という環境をイメージするとギャップが少ないはずです。
参考URL:
doda 平均年収情報:https://doda.jp/DodaFront/View/CompanyIncome/j_id__10161901846/
Indeed 給与情報:https://jp.indeed.com/cmp/Ai-Inside%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E4%BC%9A%E7%A4%BE/salaries
OpenMoney 給与レポート:https://openmoney.jp/corporations/9770/reports/grade
求められる営業スタイルと、ここで得られるスキル
求人票から見える「求める人物像」
採用ページや求人票を見ると、AI insideが営業職に求める条件はおおむね以下の通りです。Yahoo!ファイナンス
- 法人向け無形商材(IT・SaaS・コンサルなど)の営業経験
- 大企業・自治体向けの提案型営業経験
- 顧客の業務プロセスを理解し、課題を構造的に整理できる力
- AI・データ・DX領域への興味とキャッチアップ力
つまり、「単なる商品説明ではなく、業務とITをつなぐタイプの営業」がフィットしやすいといえます。
営業として鍛えられるポイント
実際にDX SuiteやAnyDataを売る場合、以下のようなスキルが日常的に求められます。
- 現場業務のヒアリング力(As-Is/To-Beの整理)
- 課題を定量化し、ビジネスインパクトに落とす力
- RPA・ワークフロー・基幹システムとの連携をイメージして提案する力
- AI・LLM・エージェントの仕組みを噛み砕いて説明する力
これらは、他のSaaS企業や事業会社DX部門、コンサルファームでも共通して求められるスキルです。
3〜5年しっかりやれば、「AI×業務自動化に強いエンタープライズセールス」のポジションを獲得できるイメージがあります。
営業トーク/提案書の構造イメージ
提案の構造としては、たとえば次のようなストーリーが基本線になりそうです。
- 現状の帳票処理フローを図解し、「人手でやっている工程」を洗い出す
- DX Suite+AIエージェントが代替できる工程をマッピング
- 1件あたりの処理時間/人件費から、年間削減インパクトを試算
- セキュリティ・ガバナンス・運用体制の要件をすり合わせ
- PoC〜本番までのロードマップと投資回収期間を提示
ここまでのストーリーを1人で回せるようになると、どのSaaS企業に行っても通用する筋力が付くと思います。
参考URL:
AI inside 採用情報:https://inside.ai/recruit
AI inside 採用関連求人(doda):https://doda.jp/DodaFront/View/CompanyIncome/j_id__10161901846/
カスタマーサクセス・他職種のキャリア機会
DX Suiteのカスタマーサクセス
CS職の求人では、オンボーディングから活用支援、アップセル提案までを担うポジションが掲載されています。年収レンジは600〜700万円台の案件もあり、SaaS CSとしては標準〜やや高めの水準です。
CSのKPIは、
- 契約継続率(解約率0.57%の維持)
- 利用率(ログイン数・リクエスト数)
- アップセル・クロスセルによるARR拡大
などで、DX Suiteの利用浸透がそのまま企業の成果につながるポジションです。
プロダクト・データ側へのキャリアパス
エンジニアやPdM、データ系職種の募集も継続的に出ており、AnyDataやPolySphere周りのAI開発・運用に関わるポジションもあります。
営業やCSからスタートして、
- プロダクトマーケティング
- プロダクトマネージャー
- データ/AIコンサル寄りの役割
にキャリアを広げていく道も、会社の性質上つくりやすいと感じます。
参考URL:
AI inside 採用トップ:https://inside.ai/recruit
AnyDataニュースリリース:https://inside.ai/news/2023/06/12/anydata-insidex
どんな人にAI insideは向いているか
フィットしやすいタイプ
ここまでの情報を整理すると、AI insideがフィットしやすいのは、たとえばこんな人です。
- AI・生成AI・エージェントといった新しい領域を、楽しみながら学べる人
- 紙や人手で回っているアナログ業務を見ると、「もったいない」と感じるタイプ
- エンタープライズの複雑な意思決定プロセスに付き合うのが苦ではない人
- 数年後には、「AI×業務自動化に詳しいSaaSセールス」として市場価値を高めたい人
ギャップになりそうなポイント
逆に、次のようなタイプはギャップを感じやすいかもしれません。
- 安定した大企業で、決まったプロダクトを淡々と売りたい人
- 戦略転換や組織変更が頻繁にある環境が苦手な人
- 評価制度の変化や、急な優先順位の変更にストレスを感じやすい人
AI insideは、「伸びているAI領域でキャリアを取りにいく代わりに、変化やリスクも受け入れる」タイプの会社と言えます。
参考URL:
OpenMoney 給与・社員データ:https://openmoney.jp/corporations/9770/reports/grade
Strainer 企業概要:https://strainer.jp/companies/JP-4488
まとめ|AI insideは転職先として「アリ」か?
最後に、ポイントをざっくり整理します。
良い意味での特徴
- DX Suiteを中心に、AI-OCR市場で高いシェアとストック収益基盤を持つ
- AnyData・Heylix・Cube・PolySphereなど、AIプラットフォーム企業としての広がりがある
- 解約率0.57%・契約数3,057件・ユーザー数66,477人など、利用実績は堅調に伸びているYahoo!ファイナンス+1
- AI×業務自動化のど真ん中で、SaaS営業としての筋力をつけやすい
注意しておきたい点
- のれん減損の影響もあり、利益はまだ安定途上
- 生成AI・LLM領域は競争が激しく、勝ち筋を磨き続ける必要がある
- 組織・評価制度の変化が多く、「変化耐性」がないとストレスになりやすい
SaaS転職を検討する20〜30代営業職の視点から言うと、
「AI×SaaSで本気で腕を磨きたい。多少の変化やリスクは許容する。その代わり、3〜5年で市場価値を一段上げたい。」
という人にとっては、AI insideは有力な候補になり得る会社だと思います。
一方で、
「まずはメガSaaSで安定的に経験を積みたい。会社自体のボラティリティは低い方がいい。」
という価値観であれば、別の選択肢も並行して検討した方が良さそうです。
次の一歩としてできること
- AI insideの決算説明資料を1〜2本読み、数字のストーリーを自分なりに整理する
- OpenWorkや他の口コミサイトで、実際の現場の声をチェックする
- OpenMoney・その他口コミサイト:https://openmoney.jp/corporations/9770/reports/grade
- あなたのブログ内の「他AI/SaaS企業の将来性・年収記事」と比較し、相対評価でAI insideのポジションを決める
ここまでやると、「AI insideに応募するか」「他社とどう併願するか」がかなりクリアになるはずです。


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