ラクスとは?SaaS企業としての全体像
まずは、ラクスがどんなSaaS企業なのかを整理します。
ラクスは2000年設立のIT企業で、「ITサービスで企業の成長を継続的に支援する」ことを掲げています。主力は、バックオフィス業務を効率化するクラウドサービス群「楽楽シリーズ」です。経費精算、請求書発行、販売管理など、企業の“お金まわりの事務”をまとめて軽くするポジションです。
ビジネスモデルは典型的なSaaS型で、
- 月額課金のストック収益
- 解約率の低い中小〜中堅企業向け
- プロダクトを横に広げた「スイート」戦略
という構造になっています。
近年は、クラウド事業に経営リソースを集中させる方針を打ち出しており、IT人材事業からの脱却・整理も進めています。決算説明資料でも、クラウド事業の売上構成比やサービス別KPIが細かく開示されており、「SaaS企業として評価してほしい」という意思がはっきり見えます。
SaaS転職希望者の目線で見ると、
- 「バックオフィスDX」という伸びている市場をターゲット
- 1プロダクトではなく、複数プロダクトを束ねるポジション
- 上場済みで一定の安定性がある一方、まだ成長フェーズ
というバランス感の企業と捉えるとわかりやすいです。
参考URL
・ラクス 会社情報・沿革:https://www.rakus.co.jp/company/
・ラクス 企業トップページ(楽楽シリーズ紹介):https://www.rakus.co.jp/
・ラクス IR資料一覧:https://www.rakus.co.jp/ir/materials/
ラクスの主力SaaSプロダクトを理解する
ラクスのコアは「楽楽シリーズ」と呼ばれるクラウドサービス群です。まとめると、次のようなイメージです。
- 楽楽精算:経費精算DX
- 楽楽明細:請求書・明細発行の電子化
- 楽楽販売:販売管理・受発注の一元管理
- そのほか:メール管理(MailDealer)、メール配信(配配メール)など
楽楽精算:経費精算の王道SaaS
「楽楽精算」は、交通費・出張費・交際費などの経費を一元管理するクラウド型経費精算システムです。
主なポイントは以下の通りです。
- 申請〜承認〜精算までのワークフローをオンライン化
- スマホで領収書を撮影→AI-OCRで自動読み取り
- 交通系ICカードやクレジットカード明細と連携
- 会計ソフトと連携して自動仕訳・振込データ作成
「紙・Excel・ハンコ」で回っている会社の経費精算業務を、一気に“クラウド前提”に変えるプロダクトです。
ニュースリリースによると、2023年9月時点で累計導入社数15,000社を突破しており、SaaS型経費精算市場で累計導入社数ランキング1位(ITR調査)を複数回獲得しています。
楽楽明細:請求書・納品書の電子発行
「楽楽明細」は、請求書や納品書、支払明細などを電子発行するクラウドサービスです。
- 請求書のPDF化・Webダウンロード
- 郵送業務のアウトソース支援
- インボイス・電子帳簿保存法への対応
- 発行履歴や開封状況の管理
紙の請求書を大量に郵送している企業にとっては、
「郵送コスト削減×担当者の残業削減」を同時に実現できるプロダクトです。
楽楽販売:クラウド型販売管理・ERP
「楽楽販売」は、見積・受注・請求・売上・入金などの販売管理業務を一元化するクラウド型販売管理システムです。
- 受発注・在庫管理・売上管理をクラウドで一括管理
- Excelでやっていた複雑な計算・転記作業を自動化
- 案件管理〜請求までのプロセスをつなげられる
- 様々な業種・業態向けにカスタマイズしやすい
ITRの市場レポートでは、SaaS型販売管理・ERPの分野で高いシェアを獲得していることが紹介されています。
その他プロダクト:問い合わせ管理・メール配信など
- MailDealer(メールディーラー):問い合わせメールの共有・対応管理
- 配配メール:メールマーケティング・メルマガ配信
- そのほか、勤怠・電子保存など「楽楽」ブランドの拡張
SaaS転職目線では、
「経費・請求・販売・問い合わせ」といったバックオフィス〜営業事務周りを一通りカバーするラインナップです。
単発ではなく、“バリューチェーン全体”に入り込める点がラクスの強みといえます。
参考URL
・楽楽クラウド(各サービス一覧):https://rakus.co.jp/rakurakucloud/
・楽楽精算 製品サイト:https://www.rakurakuseisan.jp/
・ラクスが展開するバックオフィス向けサービス紹介:https://www.rakurakuhanbai.jp/info/231004.php
| サービス名 | カテゴリ | 主な機能・役割 | 主なターゲット企業 |
|---|---|---|---|
| 楽楽精算 | 経費精算SaaS | 交通費・出張費など経費精算のオンライン化、電帳法対応 | 中小〜中堅の全業種 |
| 楽楽明細 | 電子請求書・明細SaaS | 請求書・納品書・支払明細の電子発行、郵送コスト削減 | BtoB取引量の多い企業 |
| 楽楽販売 | 販売管理SaaS | 見積・受注・売上・請求・在庫の一元管理 | 受発注が多い中堅企業 |
| 楽楽債権管理 | 債権管理SaaS | 入金消込・滞留債権管理・督促業務の効率化 | 請求件数の多い企業 |
| MailDealer(メールディーラー) | 問い合わせ管理SaaS | 代表メールアドレスの共有管理・対応状況の可視化 | カスタマーサポート部門 |
| 配配メール | メール配信SaaS | メルマガ・キャンペーンメール配信、効果測定 | マーケティング・宣伝部門 |
楽楽精算・明細・販売の強みと差別化ポイント
ここからは、プロダクトごとの“勝ちどころ”を整理します。
競合と比べてどこが優位なのかは、転職後の営業トークにもそのままつながります。
楽楽精算の強みと競合排除トーク
強みの整理(ざっくり)
- 累計導入社数No.1クラスの実績(ITR調査で複数回1位)
- 中小〜中堅企業向けにフィットした機能・価格帯
- 電子帳簿保存法・インボイス対応のノウハウ蓄積
- 会計ソフト連携やワークフローの柔軟性
営業トーク例
- 「紙やExcelの経費精算を続けると、1件あたり数百円単位の人件費がかかっています。楽楽精算なら、申請〜承認〜仕訳までを一気通貫で自動化できます」
- 「法対応は一度構成を組んでしまえば、運用は仕組みで回ります。法改正のたびにExcelマクロを組み直す必要はありません」
- 「累計15,000社以上の導入実績があるので、御社に近い事例もほぼ必ず見つかります。導入イメージも持っていただきやすいです」
競合排除トークのイメージ
- マネーフォワードクラウド経費やfreeeなど“会計一体型”と比べる場合
→ 「会計と一体型の利点もありますが、経費精算の運用を柔軟に作り込めるのは専用SaaSならでは。承認フローや規定が複雑な企業には、楽楽精算のほうがフィットしやすいです」 - ジンジャー経費など“人事領域寄り”の経費精算と比べる場合
→ 「就業・人事の文脈が強いサービスに対し、楽楽精算は“経理業務の効率化”に特化しています。経理部門の生産性を最大化したい企業には相性が良いです」
楽楽明細の強み
- 請求書・納品書・支払明細など、紙で送っていた帳票を電子配信
- 発行側・受け取り側双方の手間を削減
- 郵送コスト削減+印刷・封入の時間削減
- インボイス・電子帳簿保存への対応
営業トーク例
- 「毎月数百〜数千通の請求書を郵送している企業様では、印刷と封入・郵送にかかる人件費だけで月数十時間分のコストになります。楽楽明細なら、その作業をほぼゼロにできます」
- 「郵送と違い、Web明細なら“いつ・誰が”開封したかを記録できます。未入金のフォローや督促の精度も上がります」
楽楽販売の強み
- 受注・売上・在庫・請求を一元管理するクラウド販売管理
- Excelや紙でばらばらに管理していた情報を統合
- ITRレポートでSaaS型販売管理で高シェアを獲得
- 多業種への展開実績(製造・卸・通販・サービス業など)
営業トーク例
- 「今は見積・受注・請求が別々のExcelで管理されているため、転記ミスや請求漏れが起きやすい状況です。楽楽販売なら、案件が売上・請求まで一気通貫でつながるので、ミスを大幅に減らせます」
- 「クラウドなので、拠点が増えた時も“システムを増設”ではなく“アカウントを追加”で対応できます。成長に合わせて伸びる基幹システムというイメージです」
参考URL
・楽楽精算 製品サイト(機能・導入実績):https://www.rakurakuseisan.jp/
・楽楽精算 導入社数ランキング1位に関するリリース:https://www.rakus.co.jp/news/2020/0709.html
・楽楽クラウド(楽楽明細・楽楽販売概要):https://rakus.co.jp/rakurakucloud/
ラクスの競合比較と市場ポジション
「ラクスって競合と比べてどうなの?」という疑問に答えるパートです。
ざっくり、以下のレイヤーで競合が存在します。
- 経費精算:マネーフォワードクラウド経費、freee経費精算、ジンジャー経費 など
- 販売管理・ERP:他社クラウドERP、パッケージ型販売管理システム
- バックオフィスDX全体:マネーフォワード、freee、Sansan など
経費精算SaaSの競合比較イメージ
※ここは記事内では表にすると読みやすいパートです。
- 楽楽精算
・中堅中小企業向け、経費精算特化、導入実績豊富
・ワークフローや規定設定の柔軟性が高い - マネーフォワードクラウド経費
・会計・給与・請求など「クラウドシリーズ」一体の世界観
・経費と会計をまとめて変えたい企業と相性が良い - freee経費精算
・中小企業・スタートアップに強い
・“誰でも使える”UIとシンプルな世界観が特徴 - ジンジャー経費
・勤怠・人事領域に強いジンジャーシリーズの一部
・人事・労務の一体管理を重視する企業向け
ラクスは「経理部門の業務効率化」という軸で勝負しており、
会計や人事をプラットフォーム化する競合と“どこで戦うか”を見極める必要があります。
そのぶん、経費精算というドメインに深く入り込めるのが特徴です。
販売管理・ERP領域でのポジション
販売管理・ERPはプレイヤーが多く、価格帯も幅広い領域です。
楽楽販売は、以下のポジションを狙っています。
- オンプレの販売管理システムからのクラウドリプレイス
- Excel管理からの卒業
- 基幹システムを入れるほどではないが、業務は複雑な中堅企業
ITRのレポートでは、クラウド型販売管理システム市場でシェア上位に位置づけられており、
「ミドルレンジのクラウドERP」として存在感を高めています。
| サービス名 | 提供企業 | タイプ | 強み・ポジション | ラクス(楽楽精算)との違いの整理軸 |
|---|---|---|---|---|
| 楽楽精算 | ラクス | 専用経費精算SaaS | 中堅中小向けに特化、導入社数・事例が豊富 | 経理部門の運用に深く入り込む、ワークフロー柔軟性 |
| マネーフォワードクラウド経費 | マネーフォワード | 会計一体型SaaS | 会計・請求・給与などとシリーズで一体運用可能 | 「会計中心」で変えたい企業向け |
| freee経費精算 | freee | 会計一体型SaaS | 中小・スタートアップに強い、UIがシンプル | 小規模・スモールビジネス寄り |
| ジンジャー経費 | onceHub(jinjer)など | 人事・勤怠一体型SaaS | 勤怠・人事と併せて運用できる人事寄りの経費精算 | 人事・労務を軸にシステム統合したい企業向け |
バックオフィスDX全体での立ち位置
マネーフォワードやfreeeなど、バックオフィス全体をプラットフォーム化する企業と比べると、ラクスは以下の特徴があります。
- 強みは“特定業務SaaS”の深さ
- 楽楽シリーズで横展開はしているが、「全領域を1社で」という世界観ではない
- 経費・請求・販売など“お金の周辺業務”にフォーカス
SaaS転職の文脈では、
「なんでもできる統合プラットフォーム」よりも
「特定業務に深く刺さるSaaSを売りたい」人に向いているポジションといえます。
参考URL
・楽楽精算 導入社数ランキングに関するニュース:https://www.rakus.co.jp/news/2018/0529.html
・楽楽販売 サービス紹介・市場背景:https://www.rakurakuhanbai.jp/info/231004.php
・マネーフォワードなどSaaS企業売上ランキング(市場全体の比較材料):https://crexgroup.com/ja/dx/general/saas-company-revenue-ranking/
業績・KPIから読み解くラクスの成長性
プロダクトが良くても、数字がついてこなければSaaSとしては苦戦します。
ここでは、ラクスの決算・KPIから成長性を整理します。
連結業績の推移(2024年3月期 → 2025年3月期)
まずは直近2期の“全体のスコア”です。
2025年3月期の連結業績は、決算短信ベースで以下の通りです。Yahoo!ファイナンス
- 売上高:489.0億円(前年 384.0億円、+27.3%)
- 営業利益:101.9億円(前年 55.5億円、+83.3%)
- 経常利益:102.1億円(前年 56.1億円、+82.1%)
- 当期純利益:80.0億円(前年 41.8億円、+91.2%)
| 指標 | 2024年3月期(実績) | 2025年3月期(実績) | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 約384.0億円 | 489.0億円 | +27.3% |
| 営業利益 | 約55.6億円 | 101.9億円 | +83.3% |
| 経常利益 | 約56.1億円 | 102.2億円 | +82.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 約41.9億円 | 80.0億円 | +91.2% |
売上は2桁成長を維持しながら、営業利益は約1.8倍です。
「高成長+高採算」のフェーズに近づきつつある、と見てよい水準です。
さらに、2026年3月期第2四半期(今期上期)も、
- 売上高:287.8億円(前年同期比+25.1%)
- 営業利益:77.1億円(前年同期比+65.4%)
- 営業利益率:26.8%(+6.5ポイント)Yahoo!ファイナンス
と、成長率・利益率の両方が引き続き改善しています。
「一時的ではなく、構造的に稼げる体制になってきた」と言える数字です。
クラウド事業と主力プロダクトの規模感
SaaS転職者としては、「クラウド事業だけでどれくらい売れているか」も重要です。
2025年3月期の決算説明資料やインタビュー記事によると、Yahoo!ファイナンス+1
- 楽楽クラウド(クラウド事業)売上:約418億円
- うち、楽楽精算:約170億円
- うち、楽楽明細:約99億円
という規模感が示されています。
| 区分 | 売上高(概算) | コメント |
|---|---|---|
| 連結売上高合計 | 489.0億円 | ラクス全体の売上 |
| 楽楽クラウド事業合計 | 418.0億円超 | クラウド事業の売上(SaaS) |
| 楽楽精算 | 約170億円 | 経費精算SaaSの主力プロダクト |
| 楽楽明細 | 約99億円 | 電子請求書・明細発行SaaS |
| (参考)その他クラウドサービス合計 | 約150億円前後 | 楽楽販売・メール系など |
連結売上489億円のうち、約8〜9割がクラウド事業です。
その中でも、楽楽精算と楽楽明細の2本柱で全体の6割弱を稼いでいるイメージです。
「経費精算・請求書DXのSaaS企業」として、日本の中堅〜中小企業領域でかなり大きなポジションを取っていることが分かります。
解約率(チャーン)の水準
SaaSの質を見るうえで、解約率は重要な指標です。
2025年3月期のクラウド事業サービス別の 月次解約率(直近12か月平均) は、次の通りです。Yahoo!ファイナンス
件数ベース
- 楽楽精算:0.51%
- 楽楽明細:0.23%
- 楽楽販売:1.02%
- メール配信:1.19%
- メールディーラー:0.70%
MRRベース
- 楽楽精算:0.25%
- 楽楽明細:0.11%
- 楽楽販売:0.80%
- メール配信:1.13%
- メールディーラー:0.61%
| サービス | 月次解約率(件数ベース) | 月次解約率(MRRベース) | コメント |
|---|---|---|---|
| 楽楽精算 | 0.51% | 0.25% | 主力プロダクトでチャーン低水準 |
| 楽楽明細 | 0.23% | 0.11% | 非常に低い解約率 |
| 楽楽販売 | 1.02% | 0.80% | カスタマイズ性高い販売管理SaaS |
| メール配信(配配メール等) | 1.19% | 1.13% | マーケ系SaaSとしては標準的水準 |
| メールディーラー | 0.70% | 0.61% | 問い合わせ管理SaaS |
MRRベースで 月次0.1〜0.8%台 は、SaaSとしてかなり低い水準です。
特に売上規模が大きい楽楽精算・楽楽明細でチャーンが低く抑えられている点は、
「ストック収益の土台がかなり堅い」ことを示しています。
営業目線でいうと、
- 一度きちんと導入・定着すれば、長く使ってもらえる
- 解約率が低いので、“売上を積み上げるタイプ”の営業 ができる
という構造です。
月額平均単価(ARPA)の推移
単価が上がっているかどうかも、SaaSの“質”を見るうえで大事です。
2025年3月時点の 月額平均単価(ARPA) は、次のように開示されています。Yahoo!ファイナンス+1
- 楽楽精算:
2021年3月 7.9万円 → 2024年3月 9.3万円 → 2025年3月 10.1万円 - 楽楽明細:
2021年3月 6.5万円 → 2024年3月 7.3万円 → 2025年3月 7.8万円
きれいな右肩上がりです。
| サービス | 2021年3月 | 2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | 2025年3月 |
|---|---|---|---|---|---|
| 楽楽精算(円/月) | 78,655 | 85,530 | 88,818 | 92,731 | 100,896 |
| 楽楽明細(円/月) | 64,923 | 65,092 | 67,644 | 72,733 | 78,230 |
| 楽楽販売(円/月)※楽テル合算 | 95,865 | 103,343 | 110,141 | 117,191 | 120,000台(※) |
| メール配信(円/月)※配配メール等合算 | 25,295 | 28,175 | 33,511 | 35,324 | 40,000前後(※) |
背景としては、
- 利用ユーザー数の増加
- オプション・連携機能の追加
- 価格体系の見直し
などが想定されます。
「チャーンは低いのに、単価は上がっている」
SaaSとしてかなり理想的なパターンで、LTVを積み上げやすい状態と言えます。
数字から見た“事業の質”まとめ
ここまでの数値をまとめると、ラクスのSaaS事業は次のような特徴を持っています。
- 連結売上:384億円 → 489億円(+27.3%)と高成長
- 営業利益:55億円 → 102億円(+83.3%)と大幅増益Yahoo!ファイナンス
- 楽楽クラウド売上:約418億円、その中心は楽楽精算(約170億円)・楽楽明細(約99億円)ProductZine
- 主力プロダクトの月次解約率はMRRベースで0.1〜0.8%台と低水準
- ARPAも年々上昇し、単価成長が続いている
SaaS視点で整理すると、
- 高成長(売上CAGR)
- 高い利益率(営業利益率20%超の水準)
- 低チャーン×単価アップ
という、“クオリティの高いストックビジネス”になってきていることが分かります。
転職検討の立場から見ると、
「売りやすくて、解約されにくく、事業としても伸び続けているSaaS」
を扱える環境と言えます。
この章で引用した主なURL(本文中にも記載推奨)
- ラクス 2025年3月期 決算短信(連結):
https://www.rakus.co.jp/ir/materials/(決算短信PDFへのリンクあり) - ラクス 2025年3月期 決算説明資料:
https://www.rakus.co.jp/ir/materials/(決算説明資料PDFへのリンクあり) - 2026年3月期 第2四半期 決算説明資料(業績サマリー):
https://finance.yahoo.co.jp/quote/3923.T/disclosure - プロダクトZine「年商400億円超SaaSの成長の舞台裏―ラクス」:
https://productzine.jp/article/detail/3762 - ・Yahoo!ファイナンス(適時開示・決算説明資料へのリンク):https://finance.yahoo.co.jp/quote/3923.T/disclosure
SaaS市場トレンドとラクスのポジション
ラクス単体だけでなく、「市場全体が伸びているか」も重要です。
日本のSaaS市場はまだ伸びるのか
国内の調査によると、
- 2023年度の国内SaaS市場は約1.4兆円規模
- 2027年度には2兆円を超える見込み
といった予測が出ています。
成長率は年10%超のペースで、まだ拡大フェーズです。
DX関連の別レポートでは、DX分野が20%前後の成長率を維持しているというデータもあり、
SaaS全体としては「伸び続けている市場」と見てよさそうです。
バックオフィスDXの追い風
ラクスがターゲットにしているのは、
- 経費精算
- 請求・支払
- 販売管理
などのバックオフィス業務です。
ここには、
- 電子帳簿保存法の改正・義務化
- インボイス制度
- 働き方改革・ペーパーレス化
といった外部要因が大きな追い風になっています。
実際に、楽楽精算のニュースリリースでは、
電子帳簿保存法・電子取引データ保存義務化に関する調査結果や、
それに対応した機能追加が紹介されています。
法改正のたびに、「紙→クラウドへの切り替えニーズ」が加速する構図です。
とはいえ、競争も激しくなる
一方で、SaaS市場自体が伸びると、
- 新規スタートアップの参入
- 大手ITベンダーによるクラウドERP強化
- 価格競争・機能競争の激化
といったリスクも高まります。
バックオフィス領域は「最後まで紙が残る」領域でもあり、
そこに各社が狙いを定めています。
ラクスにとっても、「楽楽シリーズのブランド力」「累計導入社数」「豊富な事例」が武器になる一方、
今後は差別化の軸をさらに尖らせる必要があるフェーズとも言えます。
参考URL
・国内外SaaS市場規模に関する解説記事:https://www.sedesign.co.jp/marketing-blog/saas-market-size
・国内SaaS企業売上高ランキング(市場規模・成長性の参考):https://crexgroup.com/ja/dx/general/saas-company-revenue-ranking/
・One Capital「Japan SaaS Insights 2025」(国内SaaS動向レポート):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000032.000061145.html
・電子帳簿保存法に関する楽楽精算の調査リリース:https://www.rakurakuseisan.jp/news/news240926.php
ラクスの将来性とリスクを多角的に評価する
ここまでの情報を踏まえ、「ラクスは今後も伸びるのか?」を整理します。
将来性が高いと考えられるポイント
- バックオフィスDX市場の構造的な伸び
法改正・人手不足・働き方改革など、外部要因が継続して追い風。 - 累計導入社数・事例の多さ
経費精算・販売管理といった領域で、既に高いシェアを持ち、紹介・口コミ・事例が増え続けている。 - ストック収益型で解約率が低い
決算資料からも、主要プロダクトの解約率が低水準にあることが読み取れる。 - プロダクト横展開の余地
既存顧客へのクロスセル(精算→明細→販売など)のポテンシャルが大きい。
SaaS転職の観点では、
「伸びる市場でシェアを取りに行ける」「顧客基盤が厚く、営業しやすい」
という2点は大きな魅力です。
一方で意識すべきリスク
- 競合との機能・価格競争
バックオフィス領域はプレイヤーが多く、今後も価格競争が強まる可能性があります。 - 広告宣伝費への依存度
新規リード獲得に広告・マーケ投資を多く使っており、景気や競争環境によっては効率が悪化する可能性があります。 - プロダクトの多角化と組織の複雑化
サービスラインナップが増えるほど、開発・営業・サポートの優先順位付けが難しくなります。 - 採用・人材獲得競争
SaaS企業全体で人材獲得競争が激しくなっており、優秀なエンジニア・営業・CSの採用・定着は継続課題です。
総合的な印象
- 「市場も企業もまだ伸びる余地が十分にある」
- 「ただし、何もしなくても勝ち続けられるフェーズではない」
というバランスです。
“爆発的な上振れ”を狙うというより、
「きちんとしたプロダクトと市場を背景に、SaaSキャリアを積んでいく場」
として選ぶのが現実的なイメージに近いです。
参考URL
・ラクス 2025年3月期 決算説明資料(成長戦略・KPI):https://www.rakus.co.jp/ir/materials/
・ITR市場レポート(経費精算・販売管理市場のデータ出典):https://www.rakus.co.jp/news/2020/0709.html
・Japan SaaS Insights 2025(国内SaaS市場のリスク・トレンド):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000032.000061145.html
営業職から見たラクスの仕事・営業スタイル
ここからは、実際にラクスに転職した場合の“仕事のリアル”に踏み込みます。
IS・FS・CSの分業と連携
ラクスは典型的なSaaS型の営業体制を取っています。
職種のイメージは以下の通りです。
- インサイドセールス(IS)
資料請求やセミナー、Web広告からのリードに対し、電話・オンラインでニーズを深掘り。
商談化してFSにパスする役割。 - フィールドセールス(FS)
オンライン/対面での商談を担当。
課題のヒアリング→デモ→提案→クロージングまでを担う。 - カスタマーサクセス(CS)
導入後のオンボーディング・活用支援・アップセルを担当。
解約防止やLTV最大化がミッション。
SaaS営業の王道フローを身につけたい人には、かなり良い環境です。
| 役割 | 主なミッション | 主な業務内容 | KPI・評価指標の例 |
|---|---|---|---|
| インサイドセールス(IS) | 商談機会の創出 | リードへの架電・メール、ニーズヒアリング、商談化 | 商談化件数、商談化率、コール数・コンタクト数 |
| フィールドセールス(FS) | 受注・売上の最大化 | 課題ヒアリング、デモ、提案、見積、クロージング | 受注件数・受注金額、受注率、平均単価 |
| カスタマーサクセス(CS) | LTV最大化・解約防止 | 導入支援、活用提案、アップセル・クロスセル提案 | 継続率、解約率、アップセル額、NPSなど |
楽楽精算を売るときの商談フロー(イメージ)
- 現状ヒアリング
- 経費精算の申請〜承認〜支払までの流れ
- 月間の精算件数・申請者数- 紙かExcelか、どの程度システム化されているか
- 課題の深掘り
- 経理の残業時間・締め処理の負荷
- 差し戻しの多さ、規定違反の頻度- 電子帳簿保存法・インボイスへの対応状況
- ソリューション提示・デモ
- 申請者の画面(スマホ申請・ICカード連携)
- 承認フローのイメージ- 経理側の仕訳・振込データの自動作成
- 金額提示・投資対効果の説明
- 現状の人件費(工数×時給)との比較- 郵送・印刷費の削減額
- ミス削減によるリスク低減
- 導入ステップの説明
- 初期設定・マスタ整備- テスト運用〜本番運用
- サポート体制・CSの関与
こうした“型”がある程度整っているため、
未経験からSaaS営業に挑戦したい人でもキャッチアップしやすい環境です。
競合差別化の営業トーク例
- 「会計と一体で変えたいならマネフォさんfreeeさんも選択肢ですが、経費精算の運用をしっかり作り込みたい企業様には、専用SaaSの楽楽精算のほうが向いています」
- 「御社と同じ規模・業種の企業で、紙やExcelから切り替えて残業時間が〇割減った事例があります」
- 「インボイス・電帳法の今後の改正にも対応できるよう、法対応のアップデートを継続していきます」
営業としては、
**「業務フローを描ける力」と「お金・法対応への理解」**が求められるポジションです。
参考URL
・ラクス キャリア採用サイト(営業・CSなどの職種紹介):https://www.rakus.co.jp/recruit/career/
・楽楽精算 製品サイト(機能・活用イメージ):https://www.rakurakuseisan.jp/
| 評価軸 | ポジティブ要素 | リスク・留意点 |
|---|---|---|
| 市場(バックオフィスDX・SaaS市場) | 法改正・人手不足・DX需要で中長期的に拡大傾向 | 競合参入増加、価格・機能競争の激化 |
| プロダクト(楽楽シリーズ) | 経費・請求・販売管理など「お金まわり」に深く刺さる | 領域が広がるほど開発リソース配分が難しくなる |
| 収益モデル・KPI | 低チャーン+ARPA上昇+高い利益率 | 広告宣伝費など新規獲得コストの効率悪化リスク |
| 組織・営業キャリア | IS/FS/CS分業でSaaS営業の型を学べる | 成熟度が上がるほど「0→1フェーズ感」は薄れていく |
| 競合環境 | 導入社数・実績によるブランド力 | 会計一体型・人事一体型など異種格闘技との競合 |
年収・働き方・キャリアパスをチェックする
最後に、転職を考えるうえで外せない「お金・働き方・その後のキャリア」です。
職種別の年収イメージ
細かな金額は求人や時期によって変動しますが、
口コミサイトや公開求人を見る限り、
- 営業(FS):400〜700万円台がボリュームゾーン
- インサイドセールス:400〜600万円台
- カスタマーサクセス:400〜650万円台
あたりが目安です。
インセンティブ連動の割合は企業やポジションにより変わりますが、
“基本給+インセン少なめ”の安定寄りな構成が多い印象です。
働き方・残業時間・評価制度
口コミを見ると、
- 繁忙期には残業が多くなる部署もある
- 一方で、SaaS企業として業務効率化に自社サービスを活用している
- 評価は数値(売上・受注件数など)+プロセス・バリュー評価の組み合わせ
といった声が多く見られます。
「超ホワイトでラクラク」というよりは、
“きちんと数字も追うし、成長も求められるSaaS企業” というイメージを持っておくとギャップが少ないです。
ラクス出身者のキャリアパス
ラクスで身につくスキルは、
- BtoB SaaS営業の一連の型
- バックオフィス業務(経理・販売管理)の理解
- 分業体制(IS/FS/CS)の中で数字を作る力
です。
これらは、
- 他のSaaS企業(マネーフォワード、freee、HR系SaaSなど)
- 事業会社のDX推進・業務改革ポジション
などでも評価されやすいため、**“SaaSキャリアの土台を作る場”**としては悪くない選択肢です。
参考URL
・ラクス 中途採用情報(募集職種・待遇):https://www.rakus.co.jp/recruit/career/
・オープンワーク(口コミ・年収レンジの参考):https://www.openwork.jp/company/評価・レビュー(※「ラクス」で検索)
・SaaS企業売上ランキング(他社との比較材料):https://crexgroup.com/ja/dx/general/saas-company-revenue-ranking/
まとめ|ラクスは転職先として「アリ」か?
ここまで、ラクスの
- 企業概要
- プロダクト
- 競合・市場
- 業績・KPI
- 将来性・リスク
- 営業の仕事・年収・キャリア
を一通り見てきました。
ざっくりまとめると、ラクスはこんな企業です。
- 伸び続けるバックオフィスDX市場で、既に高いシェアを持つSaaS企業
- 経費精算・請求書・販売管理と、企業の“お金の周り”に深く入り込めるプロダクト群
- 解約率が低く、ストック収益としての質も高い
- 一方で、競合も多く、価格・機能競争は今後も激しくなる
- SaaS営業の王道スキルを身につけたい20〜30代営業には、土台作りとしてかなり良い環境
向いている人のイメージ
- 分業型のSaaS営業で数字を作る経験を積みたい
- バックオフィス領域や「お金・会計まわり」に興味がある
- 安定と成長のバランスが取れた上場SaaSでキャリアを積みたい
別の選択肢も検討したほうがよい人
- 0→1フェーズのカオスを味わいたい、超ベンチャー志向
- とにかくインセン爆発型のハイコミッション営業がしたい
- バックオフィスよりも、マーケ・プロダクト・toC領域に強く興味がある
この記事をベースに、
- 同じバックオフィス系SaaS(マネーフォワード・freee・Sansan など)との比較記事
- ラクス「年収」特化の記事
と内部リンクでつなげていくと、読者の回遊性も高まりやすいと思います。
参考URL(総まとめ)
・ラクス 企業情報トップ:https://www.rakus.co.jp/
・ラクス 会社情報・沿革:https://www.rakus.co.jp/company/
・ラクス IR資料一覧:https://www.rakus.co.jp/ir/materials/
・楽楽クラウド(楽楽精算・明細・販売):https://rakus.co.jp/rakurakucloud/
・楽楽精算 製品サイト:https://www.rakurakuseisan.jp/
・SaaS市場規模・トレンド解説:https://www.sedesign.co.jp/marketing-blog/saas-market-size
・Japan SaaS Insights 2025(国内SaaS動向レポート):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000032.000061145.html


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