SaaS市場の成長と働き方の多様化
近年、国内SaaS市場は年平均成長率（CAGR）15〜20％で拡大し、2024年には1兆円規模を突破。2030年には2兆円に達するという予測もあります。市場拡大に伴い、ベンチャーSaaSと大手SaaSでは“働き方の違い”が明確に表れています。
参考URL
https://techgym.jp/column/startup/saas-venture/
ベンチャーSaaS企業の働き方の特徴（SaaSならでは）
1. クロスロールが当たり前
ベンチャーSaaSはThe Model型を目指しながらも、リソース不足のため営業（FS）がマーケ支援やオンボーディングまで兼任することが多いです。
例えばSmartHRでは、創業初期は営業が受注後に人事部へ同行し、運用説明や初期設定まで担っていました。解約防止＝ARR成長につながるため、売ったら終わりではなく「売った後も顧客成功に付き添う」のがSaaSならではです。
2. ARRプレッシャーと解約率低減
SaaSは一度の売上ではなく**サブスクリプション収益（ARR）**で成長を測定します。
そのため営業は「契約数」だけでなく「継続利用・解約率」も強く意識せざるを得ません。カオナビでは、CS部門が整う前は営業が定着支援を兼務し、研修資料や活用事例を持参して解約防止に奔走していました。
3. 現場導入のリアル
スマレジのように、SaaSであっても現場に端末やPOS機器が必要なケースでは、営業が補助金申請のサポートや機器手配まで行うことも。単なるソフト販売ではなく、現場オペレーションの定着まで見届けるのがSaaS営業の特徴です。
4. 専門知識との両立
製造業向けSaaSのCADDiでは、単にライセンス契約を獲得するだけでなく「製造現場での図面データ運用が回るか」を支援しなければARRは伸びません。営業には業界知識＋SaaS活用支援スキルが求められ、一般的なベンチャー営業より学習負荷が高いです。
大手SaaS企業の働き方の特徴（SaaSならでは）
1. The Modelの徹底
大手ではThe Modelが完全に根付き、IS（インサイドセールス）→FS（フィールドセールス）→CS（カスタマーサクセス）の流れが明確に分業されています。
Sansanやマネーフォワードでは、インサイドセールスが獲得した案件をFSが商談化し、受注後はCSが定着支援を実施。職種ごとの役割が明確で、効率的にARRを拡大する仕組みが整っています。
2. 顧客基盤と組織力
大手はすでに大企業顧客や官公庁への導入実績が多く、顧客基盤の安定性が特徴です。
そのためFSも「新規開拓」より「大口案件の深耕」が多く、社内には導入コンサルタントやテクニカルサポートが揃っており、個人で全てを背負う必要はありません。
3. キャリアの専門性
freeeやラクスのような大手SaaSでは、営業は営業、CSはCSとして専門性を磨きやすく、マネジメントやスペシャリストへのキャリアパスが明確です。これは一般的な大企業の特徴でもありますが、SaaSの場合は特に「CSやプロダクト部門でのキャリア」が確立されている点が大きな違いです。
SaaSならではの働き方まとめ
- ベンチャー：ARR成長と解約防止の両輪を営業が背負う。The Modelが未成熟でクロスロール必須。現場導入や業界知識まで求められる。
- 大手：The Modelが完成しており分業徹底。安定した顧客基盤と組織支援で、専門性を磨きやすい。
ベンチャー vs 大手：働き方比較表
| 項目 | ベンチャーSaaS | 大手SaaS |
|---|---|---|
| 働き方 | 裁量大／複数役割／成果主義 | 分業型／制度充実／安定的な働き方 |
| 成長実感 | 自分の影響を即実感できる | 安定した成長軌道と体系的な評価制度 |
| ワークスタイル | リモート・フレックス柔軟 | リモート導入あり／残業管理がしやすい |
| 年収動向 | 高変動／成長企業で大きく伸びる可能性あり | 安定的に高水準／増加は緩やか |
| キャリア形成 | 高速なスキル獲得／自己設計が必須 | キャリアパス明確／制度に沿った成長が可能 |
| 向いている人 | 挑戦・変化好き／自己成長重視 | 安定志向／専門性を深めたい／制度重視者 |
タイプ別：どちらが向いているか？
- ベンチャーSaaSに向いている人
- 成長志向が強く、変化や不確実性を楽しめる
- 裁量権・成果評価・スピード感を重視する
- 自己管理力が高く、多様な役割に挑戦したい
- 大手SaaSに向いている人
- 安定した労働環境と制度の中でキャリアを築きたい
- 専門性や長期的なキャリア形成を重視する
- ライフワークバランスや働きがいを両立させたい
転職を検討するときのチェックポイント
- 自分のキャリア軸を明確にする
- 挑戦したいのか、安定したいのか。現在と将来の働き方の軸の整理が必要です。
- 企業のフェーズと資金状況を確認
- ベンチャーなら調達状況やプロダクト成長スピード、大手なら組織の制度や残業傾向を見ましょう。
- 面接で必ず聞く質問
- 働き方や勤務制度、評価制度、キャリアパス、組織文化について具体的に確認する。
- 転職エージェントの活用がおすすめ
- 自分では見えづらい企業風土やリアルな働き方の情報は、エージェントが持つケースから得られることも多く、ミスマッチを防ぎやすくなります アクシス株式会社(Axxis inc.)｜転職エージェント(人材紹介)シュカツベンチャー。
競合と差別化するための視点
競合が扱いづらい「実働のリアルさ」や「制度の整備状況」「自身のキャリアの向き不向きをタイプ別に整理した点」は、転職意思決定層（20～30代）に刺さる内容です。特に市場成長データ（国内SaaS市場の拡大予測）や年収実態、リモート導入率などの最新資料を示すことで、信頼性・説得力を高めています。
まとめ（結論）
- ベンチャーSaaS は「挑戦」「成長」「裁量重視」の環境。急成長の実感を得たい人にとっては魅力的。ただし、「しっかり制度と安定した環境で働きたい層」には負担も大きい可能性あり。
- 大手SaaS は「制度」「安定」「構造的成長重視」の働き方。専門性を深めたい人、生活と仕事の調和を重視したい人に適している。
- どちらにせよ、自分が何を大事にして働きたいかを明確にすることが、最上の選択につながります。
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