製造業の現場において、長年放置されてきた「図面管理の非効率性」。それを起点に製造プロセス全体を変革しようとしているのが、図面SaaSを展開する**キャディ(CADDi)**です。
本記事では、キャディに似たSaaS企業・競合プロダクトを網羅的に紹介し、機能や思想の違いを徹底比較。さらに、製造業向けSaaS市場の全体像や転職希望者向けの志望動機対策にも活用できるよう、構造化して解説します。
キャディ(CADDi)とは?|図面を起点に製造業DXを進めるSaaSスタートアップ
概要とミッション
キャディは2017年創業のSaaSスタートアップで、ミッションは
「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」。
従来、製造業では「図面」は人と人をつなぐ紙・PDFベースの情報として属人的に管理されていました。そこにSaaSを持ち込んだのがキャディです。
主なサービスと特徴
サービス名 | 内容 | 特徴 |
---|---|---|
CADDi Manufacturing | 図面からAIで加工方法を推定し、最適な製造パートナーに依頼するSaaS | QCD(品質・コスト・納期)をAIが最適化 |
CADDi Drawings | 図面のデジタル管理・検索・タグ付けなどを行うSaaS | 製造業の図面資産を社内データベース化できる |
キャディは「図面データ」を単なる管理対象ではなく、企業の知的資産(IP)として再活用可能なものに変えています。
キャディに似たSaaS企業・競合サービス【6選】
① ANDPAD(アンドパッド)|建設業向け図面・現場管理SaaS
- 対象:建設業(施工管理)
- 類似点:図面共有・クラウド管理機能/現場効率化を支援
- 相違点:製造業ではなく建設業特化
クラウドで図面を共有し、関係者が同時編集・確認できる仕組みは、キャディ Drawingsに似た思想を持っています。
② SOLIDWORKS PDM|設計業務に特化した図面管理ソフト
- 対象:設計部門(製造業)
- 類似点:図面ファイルのバージョン管理、CAD連携
- 相違点:クラウドSaaSではなく、オンプレ導入中心
3D CADとの連携で高度な設計管理が可能ですが、SaaSベースではない点と、製造依頼フェーズには踏み込まない点がキャディとの違いです。
公式:https://www.solidworks.com/
③ ミスミ(meviy)|自動見積もり+部品ECの巨人
- 対象:製造業(調達担当)
- 類似点:図面/CADデータからの見積もり即時化
- 相違点:規格品中心のEC型/SaaSではなくPaaS+内製製造
CADデータをアップロードするだけで見積と納期が自動算出される「meviy」は、キャディ Manufacturingの一部機能と似たUXを持っています。
公式:https://meviy.misumi-ec.com/
④ CADDi Drawings(旧Drawings)|図面データ管理の導入版
- 提供:キャディ社自身
- 機能:図面のクラウド保存/類似検索/タグ付け
- 特徴:無料から利用可能(フリーミアム戦略)
製造業の中小企業でも導入しやすく、図面資産の整理・共有の第一歩として使われています。将来的な製造最適化(CADDi Manufacturing)への布石となる位置づけです。
⑤ Autodesk Fusion 360|3DCAD+シミュレーション+図面管理
- 対象:製品設計者
- 機能:クラウドベースの3D設計〜CAM連携
- 相違点:製造最適化よりは設計・開発支援寄り
Fusion 360はSaaS型CADツールとしてはトップクラス。データの一元管理・設計・解析・加工準備まで一貫して対応できます。
公式:https://www.autodesk.co.jp/products/fusion-360/
⑥ Box for Manufacturing|図面や技術文書の共有クラウド
- 対象:製造業の情報システム部門/DX推進部門
- 機能:文書のアクセス管理/コラボレーション/テンプレート提供
Boxは「製造業向けテンプレート」を用意し、図面を含むドキュメントのクラウド管理でセキュリティ強化・作業効率化に寄与しています。
公式:https://www.box.com/ja-jp/industries/manufacturing
キャディと競合企業の比較【マトリクス表】
企業名 | 主な領域 | 提供形態 | 製造プロセス関与 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
CADDi | 図面管理+製造最適化 | SaaS+製造ネットワーク | 見積・加工・納品まで関与 | AIとネットワークを活用した製造DX |
ANDPAD | 建設現場管理 | SaaS | 非該当 | 建設業界の図面共有+進捗管理 |
meviy | 部品EC+自動見積 | PaaS/EC | 部品単位の即納体制 | 自社工場とEC強みの即時性 |
SOLIDWORKS PDM | 設計データ管理 | オンプレ中心 | 非該当 | 設計・開発部門向けのPDM機能 |
Fusion 360 | 3DCAD+解析 | SaaS | 設計〜加工前準備まで | オールインワンCADツール |
Box | 情報共有基盤 | SaaS | 間接支援(情報管理) | 図面・仕様書のセキュア管理 |
なぜキャディが選ばれるのか?差別化ポイントを整理
キャディは「図面を軸にした製造業の構造改革」に真正面から挑戦する点で、既存の製造支援ツールとは立ち位置が異なります。
特徴的な差別化要素
- AIによる製造工程の自動最適化(加工法推定・見積)
- 図面ベースのSaaSと製造ネットワークの融合
- 図面を「知的資産」として再活用する思想
製造業の“情報とモノの間の非効率”を、図面という中間財から可視化・最適化していくアプローチは、他のサービスにはない革新性を持っています。
志望動機・面接での活用例|競合理解を深めたアピールを
キャディの面接では、以下のような質問が想定されます。
「ミスミや他社と比べて、なぜキャディを志望するのですか?」
このとき重要なのは「競合企業の特徴を理解したうえで、キャディの独自性に共感していること」を示すことです。
回答例:
「meviyなども図面から自動見積を行う点では近いですが、キャディは図面そのものを企業の資産と捉え、全体の製造工程を最適化する思想に共感しました。製造業の構造的な非効率に挑んでいる点に惹かれています。」
また、FusionやSOLIDWORKSなどとの違いを言語化できれば、SaaSと製造業への理解が伝わります。
製造業DXと図面SaaS市場の将来性
市場としての将来性
- 日本の製造業では約7割の中小企業が未だ紙ベースで図面管理(経産省調査より)
- 図面資産のデジタル化は、今後のAI活用・技能伝承の基盤
- 海外では「PDM(製品データ管理)」から「MBD(Model Based Definition)」へ移行が加速
キャディのポジション
- SaaS企業でありながら、製造ネットワーク構築という高参入障壁ビジネスを持つ
- 国内外の大手製造業(自動車・機械・医療機器など)から引き合い多数
- シリーズC以降も調達を継続し、グローバル展開へシフト中
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000049.000035589.html
まとめ|キャディを志望するなら、競合理解と市場視点を持とう
図面SaaSはまだニッチな領域に見えるかもしれませんが、製造業DXの中核を担う分野です。キャディのように、図面を起点に情報・人・モノを再構成する企業は、今後さらに注目されていくでしょう。
転職を検討している方は、以下を意識して志望動機や選考対策を進めましょう。
- 製造業の業務構造への理解(QCD・間接業務・属人性)
- 他社との機能・思想・対象フェーズの違い
- キャディが提供する本質的な価値(図面=経営資源の可視化)
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