Figmaが2025年7月にNYSE上場へ──IPO概要と勝負ポイントを“全部入り”で解説

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まず結論をひとこと
2025年7月下旬、デザインSaaSの雄 Figma がティッカー FIG でNYSEに上場予定です。想定時価総額は150〜200億ドル。Adobe買収破談からの“第二創業”を支える 46%の売上成長4本のAI新製品 が注目ポイントになります。


Figma IPO 概要(キーワード:Figma IPO 2025/上場日時)

Figmaは7月下旬、ニューヨーク証券取引所に上場する計画です。正式な日付はSEC承認後に確定しますが、例年どおりであれば米国東部時間09:30、日本時間では22:30ごろに初値が形成されます。主幹事はモルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス、J.P.モルガンなど名だたる大手が並び、ティッカーシンボルは FIG
市場関係者の事前観測では、想定時価総額が150〜200億ドル、公募規模は時価総額の10~15%程度になる見込みです(Reuters記事より引用 https://www.reuters.com/technology/cloud-based-designer-platform-figma-files-us-ipo-2025-07-01/)。


Figmaとは?最新ビジネスとKPI

Figmaはブラウザ上で動くUI/UXデザインツールをコアとし、「フリーミアム → ランド&エクスパンド」の王道SaaSモデルで成長してきました。直近ではFortune 500企業の95%が導入済みとされ、いわゆる“デザイナー向けツール”から“全社協働プラットフォーム”へと進化しています。

財務ハイライト(S-1抜粋)

202320242025 Q1
売上高5.05 億$7.49 億$ (+48%)2.28 億$ (+46% YoY)
営業利益▲0.11 億$*▲0.68 億$0.45 億$
粗利率89%88%90%

*Adobeとの買収破談で得た10億ドルのブレイクアップフィーを計上し最終黒字化

注目すべきは 90%前後の粗利率ARR10万ドル超の顧客が1,000社超に伸びた点。極めて高い利益体質を維持しながら上場時点での黒字化を果たしたことで、SaaS銘柄の中でも“質の高い成長株”として評価されています。


Adobe買収破談から再挑戦まで

2022年9月、AdobeはFigmaを200億ドルで買収する計画を発表しましたが、2023年12月に英米EUの規制当局が競争上の懸念を示し、取引は破談に。Figmaは 10億ドルの解約違約金 を得て独立路線を選択します。この資金がAI製品への大型投資に充てられ、翌2024年には社内組織を再編。2025年7月のIPOへ向けたS-1提出にこぎ着けました。破談が「イノベーション促進の触媒になった」という見方も少なくありません(Business Insider https://www.businessinsider.com/figma-ipo-investors-better-outcome-adobe-deal-2025-7)。


AI戦略と新製品4本を徹底解説

Figmaは2025年春の年次イベント Config 2025 でAI関連の新機能を一挙公開しました。

製品概要期待インパクト
Figma MakeClaude 3.7と連携し、テキストプロンプトからコード付きプロトタイプを生成非デザイナー層の参加を促進しTAMを拡大
Figma DrawベクターAIブラシで手書きスケッチを即座に整形素早いラフ作成でワークフロー時間を短縮
Figma Buzzブランド資産をAIで量産・管理マーケ部門の“生成系ニーズ”を囲い込む
Grid/SitesノーコードでレスポンシブWebサイトを公開WebflowやWixと競合し市場を広げる

CEOのDylan Field氏は「短期的にR&D比率が30%台へ上がるが、AIはLTV成長をもたらす長期投資だ」と語っており、IPO後もしばらくは“成長優先モード”が続くと見られます。


想定評価額と株価シナリオ

売上ガイダンスを11億ドルと置き、バリュエーション指標にEV/Salesを使って試算すると次のようになります。

シナリオEV/Sales時価総額コメント
強気15×(Monday.com水準)165 億$AI製品の潜在市場と高粗利をフル評価
中立10×(Atlassian水準)110 億$既存SaaS平均をやや上回る着地
弱気7×(SaaS平均)77 億$“Adobe破談の余波”と見なされた場合

強気シナリオでは既に私募市場で示唆された20Bドル近辺まで到達する可能性があります。一方で世界的なIPO市況が不安定なため、最終レンジはロードショー期間(上場前1〜2週間)に注目が集まるでしょう。


日本の個人投資家はどう買うか

米国株に対応したネット証券(SBI・楽天・マネックス)ならIPO当日にFIG株を購入できます。各社とも手数料は約定額の0.495%(上限22米ドル)、為替スプレッドは1ドルあたり25銭前後。日本時間22時半ごろに初値がつき、その後1時間ほどは値動きが荒くなる傾向があるため、分割エントリーか指値注文での参加が無難です。配当は当面無配方針ですので、キャピタルゲインが主戦場になります。


投資リスクと今後の注目ポイント

競争という観点では、Adobe XDの巻き返しやキャンバ・Webflowの台頭で価格競争が激化する余地があります。またAI機能の開発費が膨らむと営業利益が圧迫されるリスクも否めません。資本市場全体のムード次第では公開価格からの乖離が生じる可能性もあるため、ロックアップ解除後(上場180日後)の需給動向 を見極めることが重要です。


まとめ:Figma IPOは買いか?

Figmaは粗利率90%前後、売上成長46%と極めて強靭なファンダメンタルズを持ち、上場直後に黒字化も果たします。さらにAI新製品群がノンデザイナー市場を取り込み、TAMを拡張する計画が明確です。

  • 中長期視点 で「デザイン×AIプラットフォーム」の勝者を信じるなら、公開価格レンジの上限付近でも保有を検討する価値があります。
  • 短期売買 を狙う場合は、初値がレンジ上限比+10%を越えたタイミングで一度利益確定を挟むとリスクを抑えられるでしょう。

今後は ARR成長率の鈍化有無AI製品の有料転換率 が株価のモメンタムを左右します。四半期決算とConfigイベントの発表をウォッチしながら、投資判断をアップデートするのが賢明です。


FAQ

質問回答(要約)
Figmaの正式上場日は?2025年7月下旬、SEC承認後に確定。
公開価格レンジは?ロードショー後に決定。観測値は1株20〜25ドル。
最低投資額は?1株から購入可。25ドルなら約4,000円+手数料。
Figmaの強みは?高いネットワーク効果、90%近い粗利、AI製品群でTAM拡大。
主なリスクは?競争激化・AI投資負担・IPO市況の変動・ロックアップ解除後の売り圧力。
目次

SaaS転職者へのキャリアアドバイス──Figma IPOを“面接ネタ”に変える3ステップ

SaaS業界を目指す読者にとって、Figmaの上場は単なるニュースではありません。IPO情報を深掘りしておけば、転職面接で差がつく一次情報になります。ここでは**「情報収集 → 自分ゴト化 → 面接活用」**の3ステップでポイントを整理します。

  1. 情報収集:S-1と決算説明会を読むクセをつける
    • S-1の ARR成長率・粗利率・R&D比率 に注目。数字で語れる候補者は信頼感が段違いです。
    • 決算説明会の質疑応答(トランスクリプト)は、経営陣の視座や直近課題が凝縮されています。英語が苦手でも要点を抜き出せばOK。
  2. 自分ゴト化:経験と結びつけストーリーを作る
    • たとえば営業職なら「フリーミアム→ランド&エクスパンド」のモデルと、現職でのクロスセル経験をリンクさせる。
    • カスタマーサクセスを志望するなら、Figmaの Net Dollar Retention(NDR)130%超 を引用し、「オンボーディング施策でNDRを高めた経験」を語る、など。
  3. 面接活用:質問と逆質問に落とし込む
    • 【質問例】「貴社はAI開発比率が上がっていますが、R&D先行投資と営業利益のバランスをどう考えていますか?」
    • 【逆質問例】「FigmaのようにAI製品でTAMを拡張する戦略を、御社ではどのプロダクトで実現するお考えでしょうか?」
      情報を“問い”に変換すると、リサーチ力と事業理解の両方をアピールできます。

ワンポイント
IPO後は採用ニーズが一気に高まるケースが多いため、FIG株の初決算(11月予定)で好調が確認できれば、採用市場も活況になる可能性大。WantedlyやLinkedInの求人トレンドをウォッチしておきましょう。


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