スパイダープラスとは?建設DXを牽引するSaaSの実態と将来性を徹底解説

スパイダープラスとは?建設DXを牽引するSaaSの実態と将来性を解説。図面・写真・帳票の一体運用や導入効果、競合比較、営業の売り方まで網羅

「建設業界のDXを進める企業」として近年注目を集めているスパイダープラス株式会社。
この記事では、同社のプロダクトやビジネスモデル、業績データ、将来性、営業職として転職を検討する際のポイントまでを総合的に解説します。


目次

スパイダープラスの企業概要とビジネスモデル

スパイダープラス株式会社は、2011年に建設現場向けアプリ「SPIDERPLUS」の提供を開始し、2021年に上場したSaaS企業です。
従来の建設現場では、紙やExcelを使った非効率な作業が多く残っていましたが、同社は**「図面・写真・帳票を一元管理できる現場DXプラットフォーム」**を提供し、業務の効率化を実現しています。

サブスクリプション型のSaaSモデルを採用しており、ID単価と契約社数の両軸でARR(年間経常収益)を拡大しています。
主な顧客はゼネコン・サブコンを中心とする施工管理部門で、現場の作業効率・品質管理・安全対策の領域で支持を得ています。

URL:https://spiderplus.co.jp/


プロダクトの特徴と導入効果

SPIDERPLUSは「現場が使いやすいUI」と「導入後の定着支援」が特徴です。
現場職員の多くはITリテラシーが高くないため、操作性の良さと運用サポートの厚さが導入成功の鍵になっています。

主な機能

  • 図面管理:最新図面をクラウドで共有し、注釈やマーキングで指示ミスを防止
  • 写真管理(電子小黒板):撮影データを自動で図面に紐づけ、報告書作成を自動化
  • チェックリスト/帳票機能:検査・報告をスマホやタブレットで完結
  • リアルタイム共有:現場・事務所・協力会社の三者で常に最新状況を共有

導入企業では「帳票作成時間が30%以上削減された」「報告ミスが減った」などの声が多く、可視化と省人化を同時に実現できるツールとして評価されています。

URL:https://spider-plus.com/


スパイダープラスの業績と成長指標

最新のIR資料(FY2024)によると、スパイダープラスの業績は以下のように推移しています。

指標実績値(FY2024)前年比
契約ID数約75,000+10%
企業契約数約2,100社+15%
ARPU(1IDあたり月単価)約4,997円+17%
ARPA(1社あたり月単価)約17.8万円+12%

既存顧客の深耕(アップセル・オプション契約)が伸びており、ARRの質的成長が見られます。
短期的には大型案件の商談長期化が課題ですが、長期的には安定的なサブスクリプション収益構造が整いつつあります。

URL:https://spiderplus.co.jp/pdf/ir/financial_results_q4_fy24_12.pdf


建設DX市場の追い風

スパイダープラスが属する「建設DX市場」は、2024年以降に大きく成長が見込まれています。
その背景には、以下のような業界課題があります。

  • 建設業の人手不足(2024年問題):残業上限規制により、省人化ニーズが急増
  • i-Construction 2.0 の推進:国土交通省が建設現場のデジタル化を推進
  • BIM(Building Information Modeling)の普及:図面・工程・安全の一元管理が求められている

これらの要因により、「現場の工数削減・品質管理・証跡管理」を支援するツールの需要が急速に拡大しています。

URL:https://axconstdx.com/2025/06/22/日本のdx化現状と進捗率-業界x企業規模マトリックス/


社員・元社員の口コミ・評判

口コミサイト(OpenWorkなど)では、以下のような意見が多く見られます。

良い評判

  • SaaS企業として珍しく建設現場に深く入り込む面白さがある
  • 成果と自走力を評価する文化で、若手でも裁量がある
  • 経営陣との距離が近く、スピード感のある意思決定が可能

注意点

  • 組織の拡大スピードが速く、変化に柔軟に対応できる人向け
  • プロダクト理解や現場知識の習得に時間がかかるケースもある

営業職の場合は「現場理解×提案設計」が求められます。
単にソフトを売るのではなく、「どう使えば効果が出るか」を一緒に考えるコンサルティング的な姿勢が必要です。

URL:https://www.openwork.jp/company.php?m_id=a0C10000015siRT


職種別の年収とキャリアパス

スパイダープラスでは、営業職が3つの職種に分かれています。

職種主なミッション年収レンジ(参考)身につくスキル
IS(インサイドセールス)リード育成・商談創出450〜650万円CRM運用・ABM設計
FS(フィールドセールス)提案・クロージング・深耕600〜800万円提案力・課題解決力
CS(カスタマーサクセス)導入支援・定着・アップセル500〜750万円業務設計・顧客伴走力

評価は成果とプロセスの両面から行われ、**定量(KPI達成率)+定性(顧客満足度)**を加味するバランス型です。
建設業界の商習慣を理解しながら、提案構築力を磨ける環境といえます。

URL:https://doda.jp/DodaFront/View/CompanyJobs/j_id__10027936579/-oc__01L/

競合比較:ANDPAD・Photoruction・ダンドリワークスとの違い(最新版)

建設DX市場は年々プレイヤーが増えており、スパイダープラスも競合との比較で選ばれるケースが増えています。
代表的な競合は「ANDPAD(アンドパッド)」「Photoruction(フォトラクション)」「ダンドリワークス」の3社。
それぞれのプロダクトがどんな領域を強みとしているのか、明確に整理しておきましょう。

各社のポジショニングをひと言でまとめると

企業名一言で言うと主なターゲット強み課題・限界
スパイダープラス図面・写真・帳票を現場で完結できる「施工現場SaaS」ゼネコン・サブコン・現場監督現場定着率/操作性/CS伴走SMB層(中小企業)への展開途上
ANDPAD工程・原価・品質・安全まで統合する「建設管理プラットフォーム」大手・中堅建設会社全社DX視点での統合管理初期設定が複雑、現場の運用定着に時間
Photoruction図面・写真・BIMをつなぐ「設計×施工連携SaaS」設計事務所・建設会社BIM連携・3Dモデル対応現場運用の実用性に課題
ダンドリワークス工務店・リフォーム業向けの「コミュニケーションSaaS」中小建設・住宅・内装業LINE感覚の使いやすさ大規模案件には機能が不足

ターゲットと利用シーンの違い

  • スパイダープラス:施工現場で使う“業務アプリ”として、現場監督・職長クラスに浸透。
    → 「現場を変える現場起点型SaaS」
  • ANDPAD:経営層や管理部門が中心。原価・進捗をまとめて見たい層に強い。
    → 「本社管理寄りDX」
  • Photoruction:BIMや設計図面を扱うエンジニア寄り。建築デザイン〜施工の連携用途。
    → 「設計DX寄りSaaS」
  • ダンドリワークス:工務店やリフォーム業など中小企業が中心。
    → 「職人や協力会社とのチャット管理特化SaaS」

スパイダープラスの強みを一言で言うと

“現場で毎日開かれるSaaS”

多くの建設DXツールは「管理する人が使うツール」になりがちですが、
スパイダープラスは「現場で作業する人が自然に使うツール」である点が圧倒的な差別化です。
UI・UXが極めて直感的で、CSチームによる現場伴走型サポートも導入定着率を押し上げています。


営業職が意識すべき「売り方」のポイント(競合差別化トーク付き)

スパイダープラスの営業は、単なる“機能説明”ではなく、
**「現場課題の発見 → 数値化 → 改善ストーリーの提案」という流れを組み立てることが重要です。
特に競合が多い分、
“どのように違いを伝えるか”**で受注率が大きく変わります。


1. 顧客ごとに異なる「刺さる課題」を見極める

役職よくある悩み提案トーク例
現場監督・職長写真整理・帳票作成が手作業で非効率「1現場あたり週5時間分の残業削減につながります」
工事部長・管理職進捗・品質の把握が属人的「全現場の進捗をリアルタイムで見える化できます」
経営層残業規制対応、人材不足「労務コストを可視化し、限られた人員で複数現場を回せます」

提案のコツは、**“課題→原因→数値化→改善効果”**を1分以内で言えるようにすることです。
例:

「帳票作成に1人あたり1日1時間かかっていますよね。
SPIDERPLUSを導入すると、その作業が40分短縮され、年間で約250時間の削減になります。」


2. 競合比較トークを使い分ける(商談フェーズ別)

▪️ ANDPADを検討している顧客へのトーク

「ANDPADさんは管理者目線で全体を俯瞰できる素晴らしいツールです。
ただ、現場監督の方から“実際に使うのは複雑で時間がかかる”という声もあります。
スパイダープラスは“現場で即使えるシンプルさ”に特化しています。
現場で“開かれるアプリ”でないと、結局定着しないんです。」

▪️ Photoructionを検討している顧客へのトーク

「Photoructionさんは設計連携が強みですが、施工現場では写真と帳票の一体化が求められます。
スパイダープラスは**“設計のためのツール”ではなく“現場のためのツール”**。
実際に作業される職長・監督が1日何度も使う設計になっています。」

▪️ ダンドリワークスを使っている顧客へのトーク

「ダンドリワークスさんは工務店やリフォーム業では非常に便利ですが、
ゼネコンや大型案件では図面・帳票・安全管理などの機能が不足します。
スパイダープラスなら**“現場管理+施工品質+写真帳票の一元化”**が1つのアプリで完結します。」


3. 提案資料では“数字×現場写真”で刺す

スパイダープラスは機能数が多いため、商談資料では現場でのビフォーアフター写真+削減効果をセットで提示するのが効果的です。

提案ストーリーの型

  1. Before:紙・Excel管理 → 写真報告や図面修正に時間
  2. After:SPIDERPLUS導入 → 報告自動化・クラウド共有
  3. Result:月40時間削減 × 年間480時間 → 人件費換算60万円改善

この「時間×人数×金額」で示すだけで、ROIが一瞬で伝わります。


4. 成約後の“定着支援”を見据えた営業も大事

スパイダープラスの強みはCS(カスタマーサクセス)の伴走にあります。
営業が導入前に「CSが現場教育まで入ります」と伝えることで、
「導入しても使われないのでは?」という懸念を事前に払拭できます。

また、提案時に「定着率=効果」という意識を持つと、より信頼される営業になります。
NRR(継続率)を意識した営業こそ、SaaSの本質を理解している証拠です。


5. 売れる営業がやっている“差がつく動き”

  • 現場に同行し、「帳票の現物」や「報告フロー」をその場でヒアリング
  • 現場監督の口から出た課題をそのままスライドに反映
  • 「課題→数値→改善→ROI」のストーリーを1ページで完結
  • 機能説明より“導入後の風景”を語る
  • 商談後はCSに引き継ぎ、定着状況を自分でも追う

営業職が“売るイメージ”を持つには、「ツールを説明する人」ではなく、
「現場の働き方を変える人」になる感覚を持つことがポイントです。


💬 まとめ:営業視点でのスパイダープラスの勝ち筋

「使われるSaaS」×「定着する現場」=スパイダープラスの営業が売りやすい理由

競合と比較しても、スパイダープラスは導入のハードルが低く、
“最初に触った瞬間に効果を感じやすい”という構造を持っています。

営業はそこを強調しながら、「現場が変わる瞬間」を提案するストーリーを描くことが重要です。
建設業界のDXはまだ途上ですが、その“第一歩”を提案できる営業は、確実に市場価値が高まります。


📎 根拠・参考URL

将来性とリスク

スパイダープラスの足元は単価主導の成長が鮮明です。FY2024通期では、KGIであるARRが前年比+29%、四半期売上は11.0億円(前年比+25%)。一方で“量”であるID増は慎重運用と大口の商談長期化で伸びが鈍く、同社はARPU/ARPAの引き上げ(既存深耕・オプション拡販)を優先してきました。FY2025はARR成長率30%と営業利益の通期黒字化をKGIに掲げ、成長性と収益性の両立フェーズに移行する計画です。
URL:https://finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp/disclosure/20250214/20250214576973.pdf Yahoo! Finance

財務面では、FY2024に0.6億円の営業損失まで赤字幅を縮小。運転資金と投資を賄うためFY2024.Q2に3.5億円の借入(固定0.6%・4年)を実行しつつ、自己資本比率62.8%を維持しています。ベトナム子会社(SpiderPlus Vietnam)設立により開発体制の拡充とコスト最適化も進行。ARPUの伸長・固定費の鈍化・開発効率化の3点が、黒字化の見通しを裏付けます。
URL:https://spiderplus.co.jp/pdf/ir/financial_results_q4_fy24_12.pdf スパイダープラス株式会社

外部環境は追い風が強いです。2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、省人化・工数削減は法対応上の必須要件になりました。現場の紙・Excel運用をデジタルに置換するニーズは構造的に高まっています。
URL:https://daiku-sodateru.mlit.go.jp/data/807e5605b217ca2cd09298d9a4a25c62.pdf daiku-sodateru.mlit.go.jp

市場規模の見通しでも、複数の外部調査が中期での持続成長を示唆します。矢野経済研究所は建築分野の建設テック市場が2030年度に3,042億円規模、23→30年度の**CAGRは7.4%**と予測。ConTech全体での拡大は、現場SaaSの浸透余地を裏付けます(他社予測でもAI・BIM/CIMの普及を背景に着実成長)。
URL:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3789
URL:https://service.xenobrain.jp/forecastresults/market-size/constructiontech 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所+1

機会(アップサイド)

  • 既存深耕の余地:ARPU/ARPAは伸長中。大手の部門→全社展開や、**現場定着度(利用頻度)**の引き上げで、拡張売上(Expansion)が継続的に積み上がる構造。
  • 製品の広がり:図面・写真・帳票の中核に、**BIM連携・AI補助(自動タグ付け、要約、異常検知)**等を重ねると“やめにくさ”が増し、NRR向上が期待できる。
  • 開発体制最適化:海外拠点活用での新機能投入速度×コストコントロール
  • 政策ドリブン需要:働き方規制やインフラ再整備で、証跡管理・監査耐性の需要は長期的に継続。
    根拠:決算資料・規制資料(上掲) Yahoo! Finance+2スパイダープラス株式会社+2

リスク(ダウンサイド)

  • LTV実現までのリードタイム:大手は導入意思決定〜全社展開までの期間が長い。短期ARRが読みにくく、ガイダンス達成のボラティリティ要因。
  • 競合の機能拡張:ANDPADやPhotoruction、ダンドリワークス等が写真・図面・帳票へ寄せると、比較が厳しくなる。“現場で毎日開かれる”UXとCS伴走の優位を維持できるかが肝。
  • SMB拡大型の価格圧力:中小への展開は単価下押しサポートコスト増のトレードオフ。
  • 黒字化フェーズの投資判断:短期の利益管理を優先し過ぎると、機能進化の遅れが将来の競争力を削ぐ可能性。
    根拠:決算スクリプト・競合動向(上掲) Yahoo! Finance+1

総評
現場定着に根差す単価成長モデル(ARPU/ARPA)と、政策・労働力制約を背景にした構造的需要が、中期の見通しを支えます。短期は大型案件のリードタイムがボラティリティを生みますが、FY2025の通期黒字化達成30%前後のARR成長が確認できれば、“量の加速(ID)”に舵を切る余地も見えてきます。
URL:https://finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp/disclosure/20250214/20250214576973.pdf Yahoo! Finance


まとめ:スパイダープラスへの転職は「現場定着を設計できる営業」かが鍵

スパイダープラスは、図面・写真・帳票の一体運用という“現場の毎日”に刺さる価値で、単価主導のARR成長を実現しています。2024年問題に象徴される省人化・証跡管理の必然性、建設テック市場の中期的拡大は、同社に継続的な追い風です。
URL:https://daiku-sodateru.mlit.go.jp/data/807e5605b217ca2cd09298d9a4a25c62.pdf
URL:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3789 daiku-sodateru.mlit.go.jp+1

営業職としてフィットするのは、次のような人材です。

  • 現場ヒアリング→課題の数値化→運用標準化まで併走できる人
  • 機能説明で終わらず、“導入後の運用風景”を描いて提案できる人
  • CSと連携して定着率・NRRを自分のKPIとして追える人

注意点としては、商談リードタイムの長さ競争の激化。対策は、現場での利用頻度(毎日開く)を起点にした価値訴求と、AI・BIM連携/監査耐性の強化で“やめにくさ”を高めることです。FY2025の黒字化とARR伸長が確認できれば、キャリア投資先としての魅力度はさらに高まるはずです。
URL:https://finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp/disclosure/20250214/20250214576973.pdf Yahoo! Finance

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